1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60540526
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大庭 昇 鹿大, 理学部, 教授 (00041210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 温彦 鹿児島大学, 理学部, 助手 (00041236)
富田 克利 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (20041220)
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Keywords | 火山灰 / 農産物 / 人体 / 自然環境 / 社会環境 / 物理的影響 / 化学的影響 |
Research Abstract |
桜島の火山灰は、色調・物性および生成メカニズムの違いから黒灰・赤灰および白灰に3大別される。黒灰は、冷却固化しつつある火口底の溶岩が、火道に蓄積された火山ガス圧によって爆砕放出された通常の火山灰である。赤灰は、含水硫酸カルシウム・無水硫酸カルシウムおよびα-クリストバル石を随伴し、酸化第2鉄に著しく富み、火口底で加熱酸化され、シリカ溶脱を伴う火山ガスによる分解変質作用をこうむった既放出火山灰と解釈される。また、白灰は、高温高圧下にあるマグマが相対的に低温低圧の大気中に狭い火道を通じて連続的に急激に放出され、急冷断熱膨脹を行ない、発泡状微細粒子となったものと解釈される。 1984年以降しばしば白灰の特徴を有する黒灰、すなわち白灰的黒灰の噴出が認められる。この事実は、火口が開かれており、マグマが直接連続的に大気中に放出されたものであることを示唆している。また、通常の火山灰、すなわち黒灰中に、含水硫酸カルシウムの結晶が随伴されている事実、および火山灰を構成する火山ガラス粒子に火山ガスの逸出したことを示す空隙の多く存在する事実が判明しつつある。 噴出したばかりの新鮮な桜島火山灰には、環境基準規制対象となる10ミクロン以下の工場公害源浮遊塵に相当する粒径粒子が4〜3%(重量比)含まれると推定され、一方、欧米で国際的大問題となっている酸性雨と同様の成分である硫酸イオンおよび塩素イオンがかなりの量随伴されている。従って、火山灰はどこへでも飛んでゆき、どんな隙間からでも侵入し、あらゆる物質を劣化腐食させ、広域にわたって自然環境および社会生活環境に甚大な悪影響を与える。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 大庭昇,富田克利,山本温彦,井ノ上幸造,中村俊文,石井敏彦,清崎聖一: 桜島地域学術調査協議会調査研究報告. 2. 98-114 (1984)
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[Publications] Oba,N.;Tomita,K.;Yamamoto,M.;Inoue,K.;Nakamura,T.;Ishii,T.;Kiyosaki,S.: Reports of Faculty of Science,Kagoshima Univ.17. 1-22 (1984)
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[Publications] Tomita;K.,Kanai,T.;Kobayashi,T.;Oba,N.: Jour.Japan.Assoc.Min.Petr.Econ.Geul.80. 49-54 (1985)
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[Publications] Oba,N.;Tomita,K.;Yamamoto,M.;Istidjab,M.;Badruddin,M.;Sudradjat.,A.,Subanda,T.: Proceedings of the Symposium on 100 Years Development of Krakatan on Its Surroundings,Jakarta,23-27 August 1983.1. 94-99 (1985)
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[Publications] Oba,N.;Tomita,K.;Yamamoto.M.: 14th Pacific.Science Congress(【XIV】 PSC),korea,1987,講演〔Abstvact NO.1013-SB(5)〕.