1986 Fiscal Year Annual Research Report
近畿北部の新第3世火成活動の火山層序および岩石学的研究
Project/Area Number |
60540527
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
古山 勝彦 阪市大, 理学部, 助手 (10112525)
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Keywords | 新第三紀 / 中新世 / 玄武岩 / 初生マグマ |
Research Abstract |
61年度は主として京都府丹後半島地域(丹後町・弥栄町)の八鹿累層、兵庫県美方郡地域の照来累層の玄武岩質火山岩の調査をおこなった。丹後半島地域では、60年度におこなった浜坂・八鹿地域に比較し、肉眼では、変質の程度の小さい玄武岩が分布する。しかしながら鏡下では、輝石は残存する場合がかなりあるが、かんらん石は一般に変質している。これらの玄武岩質火山岩類が基盤の花崗岩や北但層部最下部の高柳累累を不整合におおっている。本地域の地質図は、弘原海(1965)に公表されており、それによると本地域の八鹿累層の玄武岩質火山岩は、無斑晶質なA型,細粒のAB型,斜長石大斑を有するB型,輝石大斑を有するC型に区分され、層序的には、下位より、A→A・AB・B互層→Cとされている。今回の調査でこれらの岩相は確認できたが、層序関係はまだ確定できなかった。今年度の成果としては、A型の火山岩から、かんらん石の残存する玄武岩(TN3)をみつけたことである。以下に蛍光X線分析で得た主化学成分を示す。 Si【O_2】=51.3,Ti【O_2】=0.8,【Al_2】【O_3】=16.54,T・FeO=8.43,MnO=0.13 MgO=8.84,CaO=10.74,【Na_2】O=2.19,【K_2】O=0.67,【P_2】【O_5】=0.10 丹後半島地域の八鹿累層の玄武岩の分析値は、日本岩石誌【III】(朝倉書店)にいくつか公表されているが、今回得た試料はそれらに比べ、MgO/T・FeOに富み、より未分化な玄武岩である。このような試料をさらに得ることにより、八鹿累層の玄武岩質火山岩の初生マグマの正確な推定ができる見通しがある。TN3の蛍光X線・放射化分析による微量成分の分析もおこなった。これを照来層群の玄武岩と比べると明らかにNbに乏しく、第四紀の東北日本のソレアイト玄武岩と類似の組成をもつ。
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Research Products
(1 results)