1986 Fiscal Year Annual Research Report
電力系統の総合セキュリティ監視制御システムに関する基礎的研究
Project/Area Number |
60550186
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷川 淳 北海道大学, 工学部, 教授 (40001797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 英一 北海道大学, 工学部, 助手 (10124538)
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Keywords | セキュリティ監視 / セキュリティ制御 / 想定事故解析 / 予防制御 / 緊急制御 / SCADA |
Research Abstract |
本年度は、多重事故も考慮に入れた予防制御方策決定機能、個別緊急制御方策決定機能およびオンライン想定事故解析の精度向上対策に焦点を絞り、研究を実施してきたが、次のような成果を得ることができた。 1.多重事故も考慮に入れた予防制御方策を決定するためには、まず多重事故時の解析が必要となるが、基本的には単一事故に対する手法の重ね合せにより達成できる。モデル系統によるシミュレーションでも十分良好な結果が得られた。一方、予防制御方策の決定アルゴリズムそのものは、多重事故に対しても殆ど変更の必要がないことが確認された。 2.個別緊急制御方策の決定については、まず状態量の制約逸脱を解消するような初期点を見出し、次に制約領域内で制御量の最小化を行う手法を開発した。この際、制約逸脱量の減少に大きく寄与すると予想される制御変数をある指標に従って選択する方法と、決められた優先順位に従って制御変数を選択する方法の2通りの場合について検討した。いずれの場合も、少ない制御変数による個別緊急制御が可能であることが確かめられた。今後は、制御変数だけでは制御しきれないような重大事故に対して負荷制限あるいは系統分離も考慮に入れた、より汎用な制御アルゴリズムの確立を目ざす。 3.オンライン想定事故解析の精度向上対策については、誤差と状態変数すなわちノード電圧の大きさ及び位相角の初期状態からの変化量との関係に着目し、モデル系統を用いて詳細な検討を行った。その結果、電圧の大きさ位相角ともに大きく変化する場合にのみ誤差が大きくなる傾向にあることが確認された。この結果に基づいて、修正計算を選択的に行うアルゴリズムを開発した。今後は、修正を加えても依然として誤差が大きく厳密潮流計算によらざるを得ないと思われる場合に対しても、同様の選択が行えるようにアルゴリズムの修正を行う予定である。
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[Publications] 山田剛史: 電気学会電力技術研究会資料. PE-85-2. 11-20 (1985)
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[Publications] 李東健: 電気学会電力技術研究会資料. PE-85-47. 83-92 (1985)
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[Publications] 長谷川淳: 電気学会論文誌B分冊. 106. 603-610 (1986)
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[Publications] 北裕幸: 電気学会電力技術研究会資料. PE-86-119. 83-92 (1986)
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[Publications] Jun Hasegawa: Proceedings of the International Conference on High Technology in the Power Industry. 1. 115-119 (1986)
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[Publications] 李東健: 電気学会論文誌B分冊. 107. 9-16 (1987)