1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60550516
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 正治 九大, 国立大学(その他), 助教授 (50005948)
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Keywords | 複合材料 / 熱疲労 / 高温 / 高温材料 / 異相界面 / 組織安定性 / 熱サイクル |
Research Abstract |
構造の異なる多種類の相から構成される複合材料では、その構造上、高温に於ける加熱または熱サイクル処理にともなって、その組織が不安定となり組織劣化をおこし、その結果複合材料の機械的性質の劣化をまねくことが推察される。本研究では特にその研究の必要性が高い、高温用の複合材料の熱疲労過程と機械的性質の関係を明らかにしようとするものである。本年度の研究の進行状況は次の通りである。 1.加熱処理にともなう組織安定性の研究:従来高温でも安定であるとされて来た共晶系複合材料の等温加熱による組織の劣化挙動を調べた。試料として取扱いやすいAl-Cu【Al_2】共晶ラメラ合金に等温加熱処理を施した結果、こ共晶組織は高温において著るしい粗大化をまねくことを見出した。またこの粗大化過程はAl相とCu【Al_2】相間の界面エネルギー(界面構造)の大きさやAl相またはCu【Al_2】相中のCu原子の拡散速度によって支配されていることが明らかとなった。すなわち、共晶系複合材と云えども必ずしも安定でなく、高温使用時の組織劣化は無視できない。一方人工的に作成した複合材では構成相間の熱膨張差に帰因した組織劣化を生ずることが推察される。代表的な複合材としてCu-W系の複合材を作成し、約0.3Tmから0.8Tm(TmはCuの融点の絶対温度)で熱サイクルを施した結果、異相界面上に多数のボイドが形成されることが見出された。これらのボイド形成は熱サイクル数と共に著るしく顕著となる。 2.熱疲労強度についての研究:以上に示した複合材はすべて熱処理による組織劣化を生ずるので、これらの試料についてその機械的性質がどのように変化するかについて現在実験中である。 以上の研究成果の一部は、日本金属学会および日本金属学会講演会等において公表ずみである。
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[Publications] 後藤正治,西嶋裕造,吉永日出男: 日本金属学会誌. 50. 162-167 (1986)
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[Publications] 後藤正治,山下慎次,三村敏夫,吉永日出男: Trans.JIM.27. 512-523 (1986)
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[Publications] 後藤正治: 日本金属学会会報. 25. 988-992 (1986)
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[Publications] 後藤正治,吉永日出男: 九州大学総合理工学研究科報告. 8. 1-10 (1986)
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[Publications] 後藤正治,森和彦,吉永日出男: Trans.JIM.28. (1987)
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[Publications] 後藤正治,西嶋裕造,吉永日出男: Trams.JIM.28. (1987)