1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60550517
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
坂本 芳一 長崎大, 工学部, 教授 (50026019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 恒明 長崎大学, 工学部, 助手 (40156534)
羽坂 雅之 長崎大学, 工学部, 助教授 (30039698)
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Keywords | 水素溶解 / Pd-B合金 / 水素の無限希薄溶体における相体部分モルエンタルピーおよびエントロピー / 水素化物の標準生成エンタルピー変化およびエントロピー変化 |
Research Abstract |
1.目的:金属-水素系の基礎研究としてPd-B固溶合金中の水素溶解,水素化物生成(解離)および水素の固溶限形成に関する熱力学的研究をSieverts型平衡圧測定装置を用いて行なった。特にPd-B固溶合金中のB原子は水素原子と同様にPd格子の八面体位置に侵入因溶すると考えられているため、Pd格子中に侵入固溶しているB原子の分率を関数としてPd-B合金中の水素の相対化学ポテンシャル(Δ【μ_Η】)を理論的に導出して単一相(α)中の水素溶解および水素化物(β)の生成(解離)に関する熱力学諸量を検討した。 2.方法:所定組成のPd-B固溶合金の試料の作製はアルゴン雰囲気下でアーク溶解法で行った。組織を均質化焼鈍後、厚さ約100μmに圧延し、次いで歪取り焼鈍後、供試した。 3.結果:(1)水素の無限希薄溶体における相対化学ポテンシャル(Δ【μ_H】゜)はB濃度の増加とともに減少し、溶解水素は安定化する。同一B濃度ではB原子が全べて侵入型に固溶すると仮定した場合の方が置換型に固溶すると仮定した場合に比べてΔ【μ_H】゜値は若干小さく、溶解水素は安定化する。無限希薄溶体の相対部分モルエンタルピーΔ【H_H】゜値はB濃度とともに減少し、より発熱的溶解をするが、その相対部分モルエントロピーΔ【S_H】゜値は2.5at%B濃度付近で小さな極大値を示す。Δ【H_H】゜値のB濃度依存性は従来得られているPd-Ag,Pd-Ce合金のそれと同様な傾向にあり、溶質原子の合金添加によるPd格子の膨張量に関係していることがわかった。さらにこのΔ【H_H】゜値のB濃度依存性を"Cell"モデルにより考察した結果、定性的に説明できた。(2)水素化物の標準生成エンタルピー変化(△H゜plat)は純Pdのそれに比して大差はないが、標準生成エントロピー変化(△S゜plat)はB濃度とともに増大する。さらに水素の固溶限形成の自由エネルギー変化もB濃度とともに減少し、固溶限形成はB濃度の増加とともに容易になることがわかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.B.Flanagan edited by G.Bambakidis and R.C.Bowman Jr.: "Hydrogen in Disordered and Amorphous Solids",NATO Advanced Study Institute Series,Series B,Physics,. 136. 341-350 (1986)
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[Publications] T.B.Flanagan: Scripta Matallurgica. 20. 1745-1750 (1986)
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[Publications] K.Baba: Scripta Metallurgica. 21. (1987)
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[Publications] Y.Sakamoto: "Proc.of the 30 th Japan Congress on Materials Research". 30. (1987)
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[Publications] Y.Sakamoto: "Proc.of the 30 th Japan Congress on Materials Research". 30. (1987)
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[Publications] Y.Sakamoto,: Scripta Metallurgica. 21. (1987)