1986 Fiscal Year Annual Research Report
ジオキシゲナーゼモデル錯体の有機合成における新展開
Project/Area Number |
60550607
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西長 明 京大, 工学部, 助教授 (80025882)
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Keywords | ジアゾ化合物の簡易合成法 / 過酸化物コバルト錯体 / 選択的酸素酸化 / コバルトシッフ塩基錯体の反応性 |
Research Abstract |
1.芳香族ケトンヒドラゾンのアセトニトリル溶液に室温で5配位型コバルト(【II】)シツフ塩基錯体を徐々に加えながら1気圧酸素を通じると反応は速かに進行し、対応するジアゾ化合物が好収率で得られることを見出した。この結果は触媒的酸素酸化による簡便なジアゾ化合物の新規合成法を提供するものとして注目できる。一方、この反応をメタノール中で行うと、基質ヒドラゾンの炭素-炭素結合の酸化的開裂が起こり、対応する芳香族カルボン酸メチルエステルが得られる。これは新しい型の酸化反応として興味深い。その反応機構は、先ず最初に生成したジアゾ中間体にコバルト錯体の作用で酸素が取り込まれ、ついで窒素分子脱離に伴ってメタノールが取り込まれて生ずる過酸化物コバルト錯体が分解するという、従来に例を見ない興味深いものであることを明らかにした。 2.スチレン類は第1または第2アルコールの存在下60℃で酸素酸化されて主生成物としてアセトフェノン誘導体を生成するが、この反応の動力学的研究を行った結果、この反応が基質オレフィンとアルコールの共酸化(共酸化比=1:1)として進行し、その機構はアルコラートコバルト(【III】)錯体の律速分解によってカルボニル化合物とヒドリドコバルト種を生じ、このヒドリド中間体が速い反応で基質オレフィンに付加をし、生じた有機コバルト錯体が酸素酸化を受けてフェネチルペルオキシコバルト(【III】)錯体を生成して、これが反応条件下分解して生成物を与えるような各段階を含むことを明らかにした。更に、触媒活性に要求される錯体構造として配位不飽の非平面性シッフ塩基キレート構造が不可欠であることも明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Akira Nishinaga: Chemistry Letters. 505-506 (1986)
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[Publications] Akira Nishinaga: Tetrahedron Letters. 27. 2649-2652 (1986)
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[Publications] Akira Nishinaga: J.Am.Chem.Soc.