1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60560009
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
佐藤 茂俊 琉大, 農学部, 助教授 (00045139)
|
Keywords | イネ / 出穂期 / 基本栄養生長性早生遺伝子 / 耐冷性 |
Research Abstract |
イネ基本栄養成長相に係わる遺伝子体系を明らかにする目的で、台中65号の同質早生遺伝子系統の育成を図った。すなわち、北海道在来イネ品種、黒色稲の2を1回親とし、台中65号の同質早生系統(ER-1)を反復親とする8回の連続戻し交雑により、22の2重早生遺伝子家系を育成している。家系間での検定交雑の結果、1種の新早生遺伝を有する家系群とそれ以外の新早生遺伝子を有する家系群とに別けられた。今後更に検定交雑を行ない、新遺伝子群の分類を進めるとともに、新遺伝子の同定に努める。また、9種の相互転座系統に由来する早生遺伝子をそれぞれにもつ台中65号の同質早生系統を用いて、出穂期の遺伝ならびに既往の早生遺伝子【Ef_1】との同座性検定を行った。その結果、すべての早生系統は【Ef_1】と同座の早生遺伝子を有していることが判明した。 ER-1の葯長は台中65号のそれに較べ短い。葯長の短くなるのは【Ef_1】の多面作用によるのか、連鎖によるのかを明らかにするために、遺伝実験を行なった。ER-1と台中65号との【F_1】の葯長はER-1よりやや長かった。同【F_1】にER-1を配した戻し交雑植物では葯長の分離はみられず、【F_1】,ER-1のレンジ内に分布した。【F_2】で分離した早生個体の葯長は同時期に採集した【F_1】,ER-1のレンジ内に分布し、脱生個体は台中65号のそれと同様の長さを示し、組換個体と考えられるものは分離しなかった。台中65号での戻し交雑植物における出穂期と葯長分離は【F_2】においてと同様に、明らかな組換個体はなかった。従って、短葯形質は【Ef_1】の多面作用による可能性が高い。しかし、台中65号での戻し交雑植物個体数は約1.200と強い連鎖の可能性を完全に否定し得るものではないこと、早生個体の内には台中65号のレンジ内にわたり分布する個体もあったことから今後、後代検定を行なうとともに、台中65号による戻し交雑植物を大きくして、さらに検討する必要がある。
|
Research Products
(1 results)