1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60560064
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
古澤 壽治 京工繊大, 繊維学部, 助教授 (70127166)
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Keywords | 家蚕卵 / 低温適応 / リン脂質 / ポリオール / ホスホフラクトキナーゼ / 卵殻脂質 / 高級アルコール |
Research Abstract |
1.カイコ卵のリン脂質の分離・同定:カイコ卵における低温馴化の機構をリン脂質動態との関連で明らかにするため、薄層クロマトグラフィーにおけるRf値およびリン脂質の特異呈色反応、さらに赤外分光分析よりリン脂質の同定を行った。その結果、カイコ卵に存在する主要なリン脂質はホスファチジルコリン,ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジルセリンであった。また、いずれのリン脂質種も【C_(16:0)】,【C_(18:0)】,【C_(18:3)】,【C_(18:2)】,【C_(18:3)】の脂肪酸から構成されていることが判明した。 2.低温保護非休眠卵のホスホフラクトキナーゼ(PFK)活性:非休眠卵を25℃保護したもの、および産卵24時間後に5℃および1℃に移した卵のポリオール蓄積とPFK活性との関連について検討した。25℃保護卵のPFK活性は、ふ化までに上昇したのに反し、5℃及び1℃保護卵では、有意な活性の変動をみることはできなかった。 3.除殻培養卵の低温下におけるポリオール蓄積:低温保護非休眠卵におけるポリオール蓄積が、卵殻の酸素透過性と関連あるか否かについて検討するため、除殻培養卵を低温下(5℃)で保護した。その結果、培養開始より14日後にかけて、ソルビトールとグリセロールが蓄積された。このことから、カイコ卵におけるポリオールの蓄積と卵殻の酸素透過性とは直接関係あるとは考え難いことが判った。 4.カイコ卵の卵殻特異的脂質、【X_1】と【X_2】の構造:卵殻に存在する二つの未同定の脂質【X_1】と【X_2】を分離,精製し,それらの化学構造について検討した。【X_1】は【C_(52)】の高級アルコールの酢酸エステル,【X_2】は【C_(38)】の高級アルコール酢酸エステルであることが判った。両脂質は、休眠開始期に特異的な変動を示し、生理状態に応じて、相互変換を行っているとも考えられるが、このことについては、さらに検討を必要とする。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 古沢寿治: 日本蚕糸学雑誌. 56. (1987)
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[Publications] 吉見知明: Nippon Nogeikagaku Kaishi. 61. 217-219 (1987)
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[Publications] Toshiharu Furusawa: J.Insect.Physiol.
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[Publications] Toshiharu Furusawa: J.Seric,Sci.Jpn.