1986 Fiscal Year Annual Research Report
RuBisCOのサブユニット間相互作用に関する生化学的および分子生物学的研究
Project/Area Number |
60560089
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高倍 鉄子 名大, 農学部, 助手 (60089852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 裕和 名古屋大学, アイソトープセンター, 助手 (80170348)
赤沢 堯 名古屋大学, 農学部, 教授 (20023400)
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Keywords | RuBPカルボキシラーゼ / オキシゲナーゼ / サブユニット間相互作用 / 遺伝子のクローニングと発現 / 塩ストレス |
Research Abstract |
本研究は作物の【CO_2】固定能率を律速するRuBPカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(RuBisCO)の構造と機能および生合成の機構を生化学的、分子生物学的に解明してゆくことを目的としている。この目的のためにサブユニットの解離、会合が容易におこりうること、また遺伝子の構造が簡単であること等の特徴のために、光合成細菌Chromatiumと藍藻AphanotheceのRuBisCOを材料として用いている。今年度得られた実績は以下のとうりである。 (1)AphanotheceのRuBisCOの活性およびサブユニットの解離、会合に及ぼすベタインの効果: ベタインは大腸菌,動物細胞,植物細胞において浸透圧調節物質として高濃度蓄積される。Aphanothece細胞は塩ストレスとともに、【K^+】,【Cl^-】とともにベタインを蓄積する。RuBisCOの活性は【Cl^-】によって阻害されるが、この、阻害はベタインの添加によって回復した。【Cl^-】による阻害はRuBPとの拮抗によるものである。ベタインはRuBicCOの解離をも阻害した。またRuBisCOの低温失活、熱失活をも抑制する働きをもっている。Aphanothece細胞が塩ストレスとともにベタインを蓄積することはRuBisCOの活性にとり有利である。 (2)Aphanothece細胞におけるRuBisCOの生合成: Aphanothece細胞は塩ストレスとともにRuBisCOを高濃度細胞に蓄積することを明らかにした。このことはベタインの生合成のためにC源の供給を必要としていることを考えるとき目的にかなっているように思われる。このRuBisCOレベルの上昇にともない細胞の【CO_2】固定能は増大した。 (3)ChromatiumのRuBisCO遺伝子の一次構造の決定を終了した。 (4)Aphanotheceにおけるベタインの生合成に関与する酵素の性質を明らかにし、光合成【CO_2】固定系(RuBisCO)との相互作用を明らかにしようと考えている。
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[Publications] 高倍鉄子: 生化学. 58. 175-182 (1986)
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[Publications] Aran Incharoensakdi: Arch.Biochem.Biophys.248. 62-70 (1986)
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[Publications] Aran Incharoensakdi: Biochem.Biophus.Res.Commun.138. 118-124 (1986)
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[Publications] Takashi Akazawa: NATO-ASI-【CO^2】.
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[Publications] Aran Incharoensakdi: Plant Physiol. 1044-1049 (1986)
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[Publications] 高倍鉄子: 蛋白質,核酸,酵素. (1987)