1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60560232
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 忠 京大, 教養部, 助教授 (10026586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新山 陽子 京都大学, 農学部, 助手 (10172610)
宮崎 昭 京都大学, 農学部, 助教授 (80026608)
菊地 泰次 近畿大学, 農学部, 教授 (00026527)
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Keywords | 肉用牛一貫経営 |
Research Abstract |
本年度は、当初計画ではとりまとめと報告書の印刷のみを予定していたが、補足として山形県尾花沢市の肉用牛一貫経営の共同調査を行なった。 昨年度の鹿児島県の事例が、繁殖経営に肥育経営を導入したものか、肥育経営に繁殖経営をとり入れたものであり、本来の一貫経営にはいたらず、生産子牛の販売、肥育素牛の市場購入が行なわれていて、繁殖・肥育混合経営とでもいうべきものであり、われわれはそれを一貫経営の萠芽として位置づけようとした。また、分担者名人の他地域での聞きとりなどから、それが今日の一般的段階と判断された。それに対して、本年度調査地の尾花沢市では事例の年数が自家生産子牛をすべて肥育して肉牛で出荷する本来の一貫経営であり、貴重な事例を見出すことができた。 調査の結果、当事例は豪雪地帯で牛舎等施設増築が困難なため、施設の回転率を高める方向で経営の規模拡大を行なわざるをえないという、地域固有の条件が強く作用していることがわかり、これを直ちに普遍化することはできない。しかし、他方において、限定されたものであるにせよ、市場価格の変動にもかかわらず長期に存続しておりことから一貫経営存立の可能性を示唆するものであるといえる。過去の技術的、経営的データがないため、存立条件に関する厳密な分析を行なうまでにいたらず課題を残したが、これは今後の現地の対応によって実現されるものと思われる。一般的な技術的・経営的条件に関しては昨年度明らかにしたことを当事例においても再確認することができた。
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