1986 Fiscal Year Annual Research Report
Na⌒,K⌒-ATPaseへのリガンド結合熱の微量熱量測定による研究
Project/Area Number |
60570045
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
上坂 伸宏 日本医大, 医学部, 講師 (40115796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
品川 嘉也 日本医科大学, 医学部, 教授 (30025548)
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Keywords | 微量熱量測定 / 【Na^+】 / 【K^+】-ATP ase / ATPの結合熱 / リン酸化中間体 / 【Na^+】-form / 【K^+】-form |
Research Abstract |
1.【Na^+】,【K^+】-ATP aseへのATP結合熱 【Na^+】を結合した酵素はエンタルピーがほとんど増加せずエントロピーの増加がATP結合の駆動力となっていることが推察されていたが、微量熱量測定によってもほぼ同様な結果が得られた。しかし、エンタルピーの増大は有意であり、間接法から予想されたよりも、反応に対するエンタルピーの寄与が大きいことが明らかにされた。但し、それは加水分解熱などに比べればごく微少な熱量である。同様に、【K^+】を結合した酵素についても熱力学的パラメータの寄与について明らかにされた。これらは、かつて【Mg^(2+)】の結合熱が間接的方法で得られた結果と異ることを報告したように、熱量測定の重要性を示す結果である。 2.a)ATPからのリン酸化酵素形成反応の微量熱量測定 b)Piからのリン酸化酵素形成反応の微量熱量測定 c)リン酸化反応中間体のエネルギーレベルに関する解析 例えばa)については、いわゆる"【K^+】-sensitive form"と"ADP-sensitive form"についてなど、計画書に記した通りの実験がほぼ遂行され、b)についても同様になされた。ところで、反応のエネルギーレベルについての解析には、【Na^+】,【K^+】-ATP aseとPiの結合熱が必要である。ところが、最も簡単と考えられ、計画書にも記さなかったこの実験が最も困難なものとなった。すなわち、結論から記すと、得られたデータの絶対値の再現性が乏しいということである。初年度の計画書に、Kurikiらの報告(Biochemistry 1976年)は熱量計に起因した非特異的な熱量が非常に大きいこと記したが、ここで問題にしてる困難点はそのような初歩的な単純な問題ではない。考え得るあらゆる点を考慮して問題の解明をめざしている。
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