1986 Fiscal Year Annual Research Report
精神健康障害のハイリスクグループにおけるコーピング行動と心理社会的環境に関する研
Project/Area Number |
60570266
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Research Institution | National Institute of Mental Health Laboratory |
Principal Investigator |
宗像 恒次 精神衛研, その他, その他 (90132878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲尾 唯治 山梨学院大学, 商学部, 助教授 (20155667)
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Keywords | 痴呆度 / ADL / 燃えつき状態 / 神経症群 |
Research Abstract |
〈目的〉精神健康障害を多発させやすいグループとして、今年度は「老人介護者 をとりあげ、その抑うつ症、神経症症状を測定し、その社会心理的背景を数量的に分析することを目的とした。〈対象と方法〉東京近郊の3つの市部の福祉事務所及び、保健センターの協力で痴呆及び寝たきりを含む老人の介護者353名抽出し、1986年9月中に調査対象者を訪問し、留置し、記入してもらってから、直接回収あるいは郵送にて回収できた有効票は98名であった。介護者の属性及び社会経済上の背景は、60才以上(29%),女性(77%),専業主婦.夫(61%),配偶者(44%),老人との同居者(92%),2人家族(35%),持ち家(69%),300〜499万円年収世帯(30%)である。他方、介護をされている老人の方は、男性より若干女性が多く70〜79才(61%),ここ3年間に1〜2回入院経験者(33%),57%通院者,食事介護要(16%),排泄介護要(14%)である。つまり、、二人ぐらしの配偶者の老令介護者が,より老いた病気もちの老人を世話しているということである。こうした介護者の推定される神経症群の比率は、19.4%であり、高い燃えつき状態にある人も22.4%と精神健康状態がとりわけ悪いということはない。 が、食事,排泄の介護を必要とする老人を世話している介護者の場合は、45%が神経症群にあり、55%が高い燃えつき状態と、きわめて深刻な状態にある。このような介護者の主たるストレス源は、食事や排泄の介護が必要であること、また呆けがすすんでいることであった。介護者はそれらを大変だとか、困ったことだと感じ、さらにそれ以外の日常のさまざまなイライラした事柄をかかえ、またこれまでの老人との人間関係が悪く、介護のモラールを失っている人程、燃えつき状態にあり、抑うつ,神経症状を強く示していた。
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