1986 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトII型糖尿病モデルNONマウスのインスリン遺伝子発現異常の解析
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60570524
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
大角 誠治 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (90144287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 宏 東北大学, 医学部, 教授 (60025632)
加藤 弘巳 富山医科薬科大学, 付属病院, 講師 (40111744)
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Keywords | インスリン非依存性糖尿病 / 動物モデル / NONマウス / インスリン遺伝子 / RFLP |
Research Abstract |
本研究の2年目である61年度はRFLP(Restriction Fragment Length Polymorphism)を調べることによって、インスリン遺伝子の転写の低下が遺伝子上の変異(mutation)によるものかどうかを検討した。 方法は、NONとその対照ICR肝より高分子ゲノムDNAを抽出した。即ち、動物屠殺後直ちに肝をとり肝細胞を採取し、Proteinase K処理後フェノール抽出した。DNA溶液への混入RNAをRNase消化後再度フェノール抽出し、透析によって高分子DNAを得た。このDNAを各種制限酵素による消化、アガロース電気泳動、ラットプレプロインスリンIIcDNAをプローブとしたSouthem brot hybridization、Autoradiographyの手順でRFLPを調べた。 NONと、対照間には制限酵素EcoRI、HindIII、KpnI、TaqI処理で差を認めなかったが、BomHI処理によってNONには対照に認められない1.7kbpの余分の断片が認められた。我々はNONと同様ICR由来でI型糖尿病モデルとして確立されたNODマウスについても検討したが、BamHIで正常ICRと同様1.7kbp断片は存在しなかった。NODは糖尿病発症前に耐糖能異常を有しないので、NONにのみ1.7kbp断片を認めたことは同系のICR、NON、NODのうち、耐糖能異常を伴い、II型糖尿病の特徴を有するNONだけが異なること、NONのインスリン遺伝子に変異があることを示唆し、この変異と耐糖能の因果関係は不明であるが、この成績はインスリン遺伝子発現異常によるII型糖尿病の存在可能性を支持する。本結果より今後更に、DNAレベルで両者の関係を調べ、II型糖尿病の成因を解明する上で一つの有力な手がかりを得た。
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[Publications] 大角誠治,森岡尚夫,沢丞,矢野三郎,山本博,岡本宏,栩野義博: 糖尿病動物(医薬ジャーナル社). 1. 162-167 (1987)
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[Publications] S. Ohgaku, H. Morioka, T. Sawa, H. Yamamoto, H. Okamoto, Y. Tochino: The 4 th Japan - Korea symposium on Diabetes Mellitus International Congress Series ( Excerpta Medica, Amsterdam ). 754. (1987)