1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60570573
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐々木 睦男 弘前大, 医学部, 講師 (10005077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須貝 道博 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
稲葉 安正 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
森 達也 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | 犬部分肝移植 / シクロスポリン / リビンドナー / 同所性肝移植 / 免疫抑制剤 |
Research Abstract |
これまでの犬部分肝移植の実験から、移植片として左外側葉、左中心葉を用い、レシピエント肝全摘後に同所性に移植し、長期生存犬の得られることが確認された。免疫抑制剤として、昭和60年よりスイス・サンド社よりシクロスポリンの供与を受け、現在まで8例に使用した。その結果、10日以上の生存犬は5頭で、その最長は40日であった。この成績は部分肝移植実験としては本邦最長記録である。本例の死因は化膿性腎炎に起因する敗血症と考えられ、免疫抑制剤の投与法ならびに投与量の面において改良の余地が残された。これらの成績については、現在投稿予定であり、また第25、27、29回日本消化器外科学会総会、第21、22回日本移植学会総会、第84、86回日本外科学会総会において口演発表した。 しかし、これまでの実験では手技上の問題からドナーは犠牲死させていた。そこで昭和61年9月より、ドナー・レシピエント同時生存実験を開始した。その手技はほぼ同様であるが、左肝静脈吻合、左門脈吻合さらには尾状葉乳様突起切除などに改良を加えた。ドナーの成績は6頭が7日以上生存し、その最長生存は2ケ月であった。ドナー・レシピエントの組合せを24時間以上生存犬で検討すると、8組が2日以上生存した。また7日以上生存したレシピエントは2頭あり、その死因は肝不全および出血性肺炎であった。 以上の成績より、ドナー・レシピエント同時生存実験の手技はほぼ確立されたと考えられた。しかし、その死因の多くは感染に起因するものであり、免疫抑制剤の投与方法と感染症対策が課題として残された。以上の結果からみた実験の進行状況はほぼ満足すべきものと考えられ、残された1年はドナー・レシピエント両方の生存期間をさらに長期間とするにである。そのためにはシクロスポリン血中濃度の測定、滅菌対策、抗生剤投与方法の改良などを重点的に行う予定である。
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