1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60570609
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
石倉 直敬 金沢医科大学, 助手 (60159712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 正雄 金沢医科大学, 助手 (20121163)
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Keywords | 創傷治癒 / ヘパリン結合性増殖因子 / 線維芽細胞増殖因子 / DNA合成促進因子 / トランスフォーミング成長因子(TGF) |
Research Abstract |
1.DNA合成促進活性因子について;肉芽および瘢痕組織し存在する活性因子はヘパリン結合性増殖因子の一種と考えられたが, 両組織の活性因子の諸性質は全く同一であり, この因子が肉芽組織に引き続き瘢痕組織の形成に関与している可能性が示唆された. 2.TGF活性因子について;肉芽組織中のTGF活性は血小板のTGF-βに由来すると考えられたが, 部分精製標品を用いた安定性試験やEpidermal Growth Factor(EGF)レセプターの拮抗活性の欠如などの結果は肉芽組織の活性が TGF-βに由来するということを裏付けた. 3.ヒト真皮由来の線維芽細胞に対する両因子の増殖促進作用について;肉芽組織あるいは瘢痕組織由来のDNA合成促進活性因子の部分精製標品は, 低血清培地において線維芽細胞の増殖を強く促進した. 一方, 肉芽組織より得られたTGF-βは精製度が極めて低いため市販の精製TGF-β(宝酒造)を用いて検討した. その結果, TGF-βはBalb/c3T3細胞のDNA合成促進作用はEGFに比べはるかに低かったが, 低血清培地でのヒト線維芽細胞に対してはEGFより強い増殖促進作用を示した. 4.両因子のin vivoの作用について;in vivoでの作用の検討には, かなり大量の精製標品が必要とされるが肉芽や瘢痕組織から充分量の精製標品を得ることは物理的に不可能であり, また, 市販の精製標品は高価であり, これらを用いることは財源的に不可能と判断された. 従って, 両因子はこれらを多量に含む他の組織(たとえばヘパリン結合性増殖因子は脳より, TGF-βは血小板より)から別途に抽出・精製する必要があると判断された.
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