1986 Fiscal Year Annual Research Report
高頻度陽圧換気法の低酸素性肺血管収縮反応に及ぼす影響について
Project/Area Number |
60570730
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
渡辺 敏 北里大, 医学部, 助教授 (40050463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅谷 和江 北里大学, 医学部, 助手 (90179119)
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Keywords | 高頻度陽圧換気法 / 低酸素性肺血管収縮反応 |
Research Abstract |
高頻度陽圧換気法は臨床医学の色々な分野に導入されているが、これの肺循環とくに低酸素性肺血管収縮反応に与える影響については十分な検討がなされていない。本研究はネンブタール麻酔下の雑種成犬に、犬用に改良したカーレンス気管内チューブを気管内に挿管し、高頻度陽圧換気下で低酸素性肺血管収縮反応の変化をみた。 通常の調節呼吸を両側肺に行い、次の3群に分け実験を行った。 【I】群:一側肺を酸素で、他側肺を窒素で調節呼吸を行ったもの。 【II】群:【I】群で窒素換気肺に10Hzの高頻度陽圧換気を重畳したもの。 【III】群:一側肺を酸素で調節呼吸を行い、他側肺を窒素による10Hzの高頻度陽圧換気を行ったもの。 動脈血酸素分圧は窒素換気により全ての群で低下したが、【I】群では30分値の90mmHgに比べて120分値で144mmHgと有意に上昇することが判った。これに対して、【II】群では30分値62mmHgから120分値76mmHgに、【III】群では30分値94mmHgから120分値78mmHgと変化せず、有意な上昇はみられなかった。平均肺動脈圧は全ての群で有意に上昇したが、【I】群と【II】および【III】群との間には有意の差は認められなかった。 今回の研究結果から、高頻度陽圧換気法ではそれを単独で行っても、また調節呼吸に重畳しても、窒素換気により低下した動脈血酸素分圧の上昇が起こらなかったことから、低酸素性肺血管収縮反応が抑制されたことが考えられる。
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