1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60570744
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
清水 保夫 福井医大, 医学部, 助教授 (90108093)
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Keywords | 尿路感染症 / 真菌 / 真菌の病原性 / 真菌の迅速診断 |
Research Abstract |
真菌性尿路感染症は難治性尿路感染症に対する化学療法後の菌交代症として発現するが、なかでも担癌者や外科的治療後の癌化学療法例に多発している。このことは、全身的な免疫能の低下が発生の要因として密接に係わっていることを示唆する成績であり、終末感染に結び付く重篤な感染症のひとつに挙げられる由縁である。更に、尿路腔内へのカテーテル留置例においても、強力な抗菌化学療法後にしばしば発症することから、局所的な免疫能の低下も、その発症に関与している可能性が示された。 分離菌数は【10^4】個/ml以上の生菌数で検出されることが多いが、膿尿が陰性であるのにもかかわらず、尿路に定着し長期間にわたり連続して分離されることも稀ではない。この現象が宿主の反応性の低下に起因するのか、真菌のvirulencyによるのかについての検討を今後進めてゆく必要があるが、この際真菌が尿路腔内で確実に増殖していることを示すことが重要となってくる。 真菌が尿中に存在することを知る手段としてはCardida属の細胞成分であるmannoseを尿中に証明することが迅速診断の手掛りとなる。一方、増殖性を証明する手段としては、その代謝産物であるD-arabinitolを検出すればほぼその目的を達したことになるが、菌種が相違すればその解析が困難になることが判明している。更に詳細な分類を可能にするべく、分析の対象物質を増加させる所存で、共同研究者を1名加えることにより、研究の一層の充実を計る所存である。
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