1986 Fiscal Year Annual Research Report
外側血液網膜柵における基底膜分子節の形態的研究(網膜色素上皮症の疾患モデル作製)
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60570835
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松岡 徹 岡山大, 医学部, 講師 (10165780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 敦史 岡山大学, 医学部附属病院, 助手
田中 利幸 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (50171781)
小山 鉄郎 岡山大学, 医学部附属病院, 講師 (50135993)
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Keywords | 脈絡膜毛細血管内皮細胞 / 網膜色素上皮細胞 / 基底膜 / 分子篩 / ブルック膜 / フリーズフラクチャー / ディープエッチング法 |
Research Abstract |
本年も主にディープエッチングフリーズレプリカ法を用いて、ブルック膜と網膜色素上皮細胞および脈絡膜毛細血管内皮細胞を観察した。材料としては、ニホンザル,ウサギおよびマウス眼を用いた。マウス眼においては、本年より無固定で永晶防止剤使用なく、銅板に圧着する急速凍結法を用いて上記の部の観察を行った。基本的には、基底膜の網目構造は、エタノールを永晶防止剤として用いたディープエッチング法と異なることはなく、5〜11nmの細糸によって形成されていた。すなわち基底膜分子篩の構築は、いずれの方法で観察しても同様の大きさであると考えられた。しかしマウス眼においては、基底膜緻密層は薄く、ニホンザル眼底周辺部のものが最も厚いという結果であった。一方外側血液網膜柵の最終的な篩である網膜色素上皮細胞間の結合装置についても観察した結果、この部の密着結合やgap結合は、ニホンザルの黄斑部においては、眼底周辺部と比較して大きく、密着結合においては連続的であった。また網膜色素上皮細胞の基底部の嵌入部では、色素上皮細胞の基底膜の透明層の細糸は減少していた。一方ブルック膜の弾性板と網膜色素上皮細胞および脈絡膜毛細血管内皮細胞の基底膜を連結する細線維束が密に認められた。一方病的な状態の脈絡膜毛細血管内皮細胞についても観察した。網膜剥離が長期にわたり持続した状態においては、脈絡膜毛細血管のfenestrationは減少していた。しかし基底膜には、大きな変化は認められなかった。また高血圧の動物モデル眼においては、脈絡膜毛細血管内皮細胞の基底膜の肥厚や多層化などが認められた。なお本研究の目的の1つである網膜色素上皮細胞や脈絡膜毛細血管内皮細胞の基底膜を分離し陰性染色を施して観察することは、脈絡膜の全体の基底膜の分離しかできないことが判明したため、今後専らディープ・エッチング法で観察することに決した。
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