1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60570852
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
武田 正子 東日本学園大, 歯学部, 教授 (40001953)
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Keywords | 味蕾 / 細胞骨格 / 電子顕微鏡 / ケラチンフィラメント / トノフィラメント |
Research Abstract |
味蕾の細胞には、上皮細胞と同様に接着斑から続く中間径(10mm径)フィラメントが束をなして胞体全体に分布し、細胞骨格を作っている。マウスの有郭,葉状および茸状の各乳頭の味蕾細胞と上皮細胞について、抗ケラチン抗体を用いて螢光抗体法,PAP法を行ってフィラメントの構成蛋白質を調べ、さらにその微細構造を透過電子顕微鏡で調べた。皮膚のケラチンに対するポリクロナール抗体(DAKO)とモノクロナール抗体(EAB903)では、各乳頭の味蕾細胞と上皮細胞のすべては陽性反応を示した。PKK1モノクロナール抗体では、角化上皮のsuprabasal layerのみが陽性で、その他の上皮細胞、それに味蕾細胞は陰性であった。PKK2モノクロナール抗体では、味蕾細胞は陰性であったが上皮細胞はPKK1と反対に有郭,葉状乳頭の味蕾の存在する溝に面した非角化上皮の全層,茸状乳頭の味蕾を囲む上皮細胞,それに角化上皮の基底層が陽性で、角化上皮のsuprabasal layerが陰性を示した。透過電顕では、味蕾細胞のフィラメント束の集合状態が周囲の上皮細胞と異なり、疎らな束を形成していた。しかし神経終末と求心性シナプスを作る【III】型(味)細胞は、【I】型や【II】型細胞よりも稠密な束を作っていた。フィラメント相互間には不規則な架橋がみられた。味蕾周囲の上皮細胞の束は、非常に稠密で、フィラメント相互間には電子密度の高いセメント様物質が埋まっていた。 このように味蕾細胞のフィラメントの蛋白質は周囲上皮細胞と同じく、ケラチンであることがわかった。従って味蕾細胞の起源は、周囲上皮細胞であり、神経外胚葉起源説は否定された。またケラチンには30種以上の蛋白質分子が知られているが、この研究では、味蕾細胞とその周囲の上皮細胞の間では、ケラチンの抗原決定基に一部差異があり、さらにフィラメントの集合状態も異なっていたので、ケラチンの構成分子についても、両者の細胞には差異があるものと推測される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Masako Takeda: Cell and Tissue Research. 242. 409-416 (1985)
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[Publications] 武田正子: 歯科基礎医学会雑誌. 28. 178 (1986)
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[Publications] 武田正子: 解剖学雑誌. 62. (1987)