1986 Fiscal Year Annual Research Report
表面改質微球状フィラー含有の膨張性コンポジットレジンの開発
Project/Area Number |
60570907
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
新井 浩一 城西歯大, 歯学部, 助教授 (90049396)
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Keywords | 膨張性モノマー / 非収縮性レジン / ビシクロオルソエステル / コンポジットレジン / イオン重合 / カチオン重合 / ラジカル重合 / 表面改質フィラー / 球状フィラー |
Research Abstract |
ビシクロオルソエステルの膨張性モノマーを合成することおよびシラン処理を施こさなくても、ベースレジンとなじみやすい径1μm以下(粒度分布を有する)の表面改質α型石英微球状フィラーを作製することにより、膨張性コンポジットレジンを試作する目的で、本研究ではビシクロオルソエステル、スピロオルソカーボネットの合成および振動ボールミルと攪伴擂潰機によるα型石英摩砕物の作製を行い、次のような結論を得た。 A.膨張性モノマーの合成および物性:(1)カルボン酸類とトリオール類との反応から得られたビシクロオルソエステル誘導体を希釈モノマー(3G)で希釈して物性試験を行った結果、希釈モノマーは50wt%以上必要となり、50wt%の混合物は、従来のBis-GMA/3G=1の混合物(ラジカル重合)の機械的性質とほぼ近い値であったが、前者の粘性は後者のそれよりも高いため、フィラーを多量(70wt%以上)に添加することが不可能となる。また、フィラーを多量に添加するためには、希釈モノマー/膨張性モノマー=8/2以上となるので、このレジンは重合収縮を起こす結果となった。しかも、イオン重合触媒に【BF_3】を用いると、反応時間も後者のものより遅延した。(2)合成したスピロオルソカーボネットも固体であるため、希釈モノマーが必要であった。 B.表面改質微球状フィラーの作製:振動ボールミルおよび攪拌擂潰機で摩砕したα型石英は、摩砕時間が長くなるにつれて結晶性を失うが、熱処理することにより結晶性を回復させることができ、しかも粒度分布をもつ0.5〜2μm程度の表面改質微球状石英を作製することが可能となった。 今後の研究として、液状の膨張性モノマーを合成するとともに適正な希釈モノマーおよび重合触媒(ラジカル重合触媒も含む)を検討することにより、表面改質微球状フィラー含有の膨張性(非収縮性)コンポジットレジンを試作する見通しをつけたい。
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