1986 Fiscal Year Annual Research Report
魚肉の調理に関する基礎的研究-魚肉のテクスチャー特性におよぼす化学的組織学的要因
Project/Area Number |
60580054
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
畑江 敬子 お茶大, 家政学部, 講師 (50156337)
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Keywords | 魚肉の物性 / 結合組織 / 魚肉の硬さ |
Research Abstract |
近年日本型食生活に関して、総エネルギーに占めるタンパク質,脂質,澱粉の比率が適正であること、タンパク質のうち魚肉を多く摂取していることなどの点からその良さが見直されている。わが国では、古来から水産資源を種類においても、量においても多数消費してきた。魚肉は畜肉に比べて鮮度による品質変化が速いことから、魚肉の品質に関しては古くから強い関心が持たれてきた。嗜好性に大きく影響する要素の一つに物性がある。筆者らはこれまでに、5魚種(カツオ,トビウオ,マアジ,カレイ,キチジ)について加熱した場合の魚肉の物性に関して、多変量解析を応用して定量的に表す方法について報告した。昨年度は、同じ5魚種を14日間貯蔵し、物性の経時的変化を調べ、その原因を知るために魚肉を構成するタンパク質量,SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動分析,筋原繊維の断片比率,ほぐれやすさの測定を行い、物性の魚種間の差および鮮度による変化は、組織構造の脆弱化によって定量的に示し得ることを発表した。本年度においては魚肉の結合組織に着目し、これらの定量を行った。結合組織の測定は、結合組織の主要タンパク質コラーゲンに特有のイミノ酸であるヒドロキシプロリンの定量によった。その結果、魚の背肉中の総コラーゲン量は、マコガレイに最も多く、キチジ,トビウオ,マアジ,カツオの順であった。総コラーゲン量は、同時に測定したテクスチュロメーターによる硬さとの間に正の相関(r:0.70)が見られ、生肉が硬い魚肉ほど総コラーゲン量が多いことが認められた。また20℃でホモジナイズした場合に水相に移行するコラーゲン量は、カツオが最も多く、マアジ、トビウオ,マコガレイ,キチジの順であった。この値は、テクスチュロメーターで測定した硬さと負の相関(-0.65)が認められた。しかし、加熱すると結合組織は可溶下するため、魚肉の物性に影響を与えなかった。
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