1986 Fiscal Year Annual Research Report
岐阜県における祭礼衣裳の構成と意匠の史的・実証的研究
Project/Area Number |
60580080
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Research Institution | Gifu City Women's College |
Principal Investigator |
林 豊子 岐女短, その他, 助教授 (70070894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 裕里子 岐阜女子短期大学, 被服学科, 助手
山田 令子 岐阜女子短期大学, 被服学科, 助教授 (10070898)
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Keywords | 祭礼衣裳 / 形態 / 構成 / 意匠 / 史的実証 |
Research Abstract |
岐阜県内の祭礼行事の際に着装される衣裳について史的、実証的に考察する目的で調査を始めたが、今年度とりあげた祭礼は次のとおりである。金蔵獅子舞(吉城郡国府町広瀬)、数河獅子(吉城郡古川町数河)、花奪い祭り(郡上郡白鳥町長滝)、半原文楽(端浪市日吉町半原)、表佐の太鼓踊(不破郡垂井町表佐)。前年と同様、祭礼当日の衣裳の着装状態を写眞撮影し、後日再度来訪し衣裳の寸法、構成法、色彩、文様等を記録した。そのうちの花奪い祭りについて結果の概要を述べると、白山長滝神社の祭礼で六日祭りともいわれ毎年1月6日に行われる。神事が終り酌取りが始まる。この衣裳は白衣、白袴、帯刀し、その衣裳の上に黒地の編綴を羽織り、浅葱色の裃姿である。次の当弁の舞の衣裳は、白地に赤・青・黄色の草花文様が肩から袖の上部および裾にあしらわれた小袖に白地の大口に狩衣姿で舞うが、狩衣は薄緑地に竹に笹と雀の文様の刺繍、また同じ薄緑地に梅樹と鶯の文様が刺繍されたものを着装する。これの製作年代は明らかではないが、この神社には能衣裳の狩衣で黄地梅樹に揚羽蝶の刺繍がほどこされ元和6年の銘のものがある。この梅樹の構図と現在の狩衣の梅樹の構図に類似点がみられる。次に露払いは赤のたつつけ袴をはき緋色で綾織のウール地の陣羽織を着装するが、薄青色の0.5cmのふちどりや、前肩部分に十字繍いの飾りなどが地色の鮮やかな色彩と共に戦を離れて形式化された陣羽織の美しさをみることができる。次に乱拍子、田歌、当弁ねり歌、しろすりと続くが、しろすりの衣装は朱色地に白で花文様を染めだした絹地の襦袢に、白・黒の格子柄のたつつけをはき、黒の襷がけという姿で田打ちのしぐさを行う。資料によっては、たつつけが絣と記されているのもあるが、現在は白・黒の格子柄である。これらの結果については62年度服飾学会に発表の予定である。なお、他の祭礼衣裳についても継続し整理し発表する予定。
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