1986 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀末から20世紀初頭のアメリカにおける体育・スポーツ雑誌に関する基礎的研究
Project/Area Number |
60580101
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
小田切 毅一 奈良女大, 文学部, 助教授 (40093554)
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Keywords | 体育・スポーツ関係雑誌 / アメリカスポーツ史 / 文化現象と教育(体育)現象 / スポーツ情報と体育情報 |
Research Abstract |
1.アメリカにおける体育・スポーツ関係雑誌の刊行は、1870年代後半から著しく盛んになる。このことは、いわゆる「教育現象とかかわる体育情報」にも影響を与えている。当時の体育雑誌として、「ダイオルイスの月刊誌」(1883〜84)や「ギムナジウム」(1889〜97)や「ポッセ・ギムナジウム」(1892〜1920)が、またYMCAの機関誌「トライアングル」(1891〜92,1892〜96の「体育」やそれ以降の「マインド・アンド・ボディ」)や、「アメリカ体育レビュー」(1896〜1929)などが挙げられる。 2.これらの体育雑誌(情報)のうち、特に注目すべきものは「アメリカ体育レビュー」である。この体育雑誌(情報)は、アメリカで最初の全国的な体育家の専門職集団「アメリカ体育振興協会」(現在のAAHPERD)の結成(1885年)に伴なうもので、この団体の年次大会の報告書(1885〜95)から発展したものである。そこには当時活躍した体育家達のさまざまな主張を見ることが出来る。この団体の当初10年間における体育情報は、一言で1)いわゆる体育運動論としての体操諸理論(ドイツ式,スウェーデン式,アメリカ式など)、2)体育管理・方法論としての人体計測等、3)科学的基礎理論としての生理学の領域から構成された「身体の教育」を標傍するものであった。 3.これらの情報分析から得られた傾向は、基本的に次のようなものであった。すなわち当時の体育家の関心が、20世紀初頭に至って新たに、プレイグラウンド(レクリエーション)関係に集められたこと。そしてまた当時の情報は、時代に伴なって体操から遊戯やスポーツへと関心対象が拡大する傾向をあらわすものであった。本研究の第三年次においては、こうした「教育現象とかかわる体育情報」が、文化現象とかかわるスポーツ情報との関連で、特に20世紀初頭に至ってどう変容したか等に着目したい。
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