1986 Fiscal Year Annual Research Report
α(2→8)結合N-グリコリルノイラミン酸ポリマーの免疫抗原性と抗体産生
Project/Area Number |
60580125
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 康男 東大, 理学部, 助教授 (30004336)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田沢 一朗 東京大学, 理学部, 助手 (00011718)
|
Keywords | ポリシアル酸の抗原性 / 抗(8NeuAcα2→)n抗体 / 抗(8NeuGcα2→)n糖タンパク質抗体 / 抗ポリシアル酸抗体の抗原特異性 / 新しいシアル酸アナログ(デアミノノイラミン酸) |
Research Abstract |
1.米国NIHのJ.B.Robbins博士から提供されたウマ抗N-アセチルノイラミン酸α-(2→8)結合ポリマー抗血清(IgM)の抗原特異性を明確にした。即ち、この抗血清はN-グリコリルノイラミン酸α-(2→8)結合ポリマー(ニジマス未受精卵ポリシアロ糖タンパク質から単離)とは免疫交差反応はしない。ポリシアル酸のN-アシル基を抗原決定基として厳密に識別している。また、ハプテン活性にとって(8NeuAcα2→)nにおける重合度は少なくともn≧6である。 2.ウマ抗(8NeuAcα2→)n抗血清を用い、組織免疫化学的手法により、レイクトラウト未受精卵ポリシアロ糖タンパク質(NeuAc/NeuGc=3/7)の卵細胞内局在部位を卵内顆粒である表層胞と明確に同定した。 3.ウサギに対しては(8NeuGcα2→)nポリマーの抗原活性は著しく低いことを実証した[同一の結論はその後弘前大(医)の佐藤公彦博士によっても確認された]。そこで抗体産生能の高いBALB/cマウスを用い免疫化を行い、ELISA法でNeuGcポリシアロ糖タンパク質に対する抗体産生の判定を行なった。ニトロセルロース膜に抗原糖タンパク質を固定し免疫組織化学染色法で最も高感度のABC(avidin-biotin peraxidase complex)法のキットで染色を行なった。しかしいずれのマウスの血清も反応性を示さなかった。 4.ニワトリ(NeuGcはニワトリにとっては全くnon-self)に対しては、群馬大(医)の工藤重治博士の協力を得、シアル酸としてNeuGcのみから成るニジマス卵ポリシアロ糖タンパク質を用い抗体産生を試み、成功した。このことは、画期的なことであり、抗体の抗原特異性等について現在研究を進めている。 5.シアル酸アナログであるデアミノノイラミン酸を発見し、それがポリシアリル基の非還元末端にcappingし、シアリダーゼ作用から保護されていることを明確にした。この残基(KDN)はかかる意味で非常にユニークであり、その抗原性について今後研究を計画している。
|
-
[Publications] Daita NADANO: J.Biol.Chem.261. 11550-11557 (1986)
-
[Publications] Mariko IWASAKI: Biochemistry. 26. (1987)
-
[Publications] Ken KITAJIMA: Science.