1986 Fiscal Year Annual Research Report
新しく見出した2つの血清プロテアーゼインヒビターの構造と機能
Project/Area Number |
60580142
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
篠原 兵庫 近大, 医学部, 教授 (60088515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 昭夫 近畿大学, 医学部, 講師 (40153788)
鈴木 康之 近畿大学, 医学部, 講師 (20019673)
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Keywords | 血漿プロチアーゼインヒビター / コントラプシン / ムリノグロブリン / α-1-アンチキモトリプシン |
Research Abstract |
われわれは先にマウス血漿中に二つの新しいプロテアーゼインヒビターを見出し、それらをコントラプシンおよびムリノグロブリンと命名した。その後コントラプシンはヒトα-1-アンチキモトリプシンと相同の蛋白質であることが分かった。が、活性中心部位のアミノ酸配列は大きく異なっており、コントラプシンとα-1-アンチキモトリプシンのプロテアーゼ阻害活性スペクトルは大きく異なっていた。例えば、コントラプシンはキモトリプシンを全く阻害せず、トリプシンを強く阻害する。これに対し、ヒトα-1-アンチキモトリプシンはキモトリプシンを強く阻害し、トリプシンには全く作用しない。つまり、両者は共通の祖先遺伝子に由来しながら、進化の過程でその性質を大きく変えてしまった蛋白質であることが明らかとなった。 今までヒトとマウス以外にこのコントラプシン・アンチキモトリプシン族に属する蛋白質は知られていない。そこで相同蛋白質をウシ,ウマ,ヒツジ,イヌ,ウサギなどの血漿中に探したが、検出できなかった。その理由については目下検討中である。 一方、ムリノグロブリンの分布についても同時に検討したが、ラット,モルモット、ハムスターなどの齧歯類にはいずれも高濃度に含まれていた。がそれ以外の哺乳類血漿中には検出できなかった。そこでモルモットからムリノグロブリンを単離し、その性質を調べて次の結果を得た。1.トリプシンはムリノグロブリンのペプチド結合を1ヵ所で切断する。2.するとムリノグロブリン分子中のチオールエステル結合が切れる。3.その後、直ちにトリプシンはムリノグロブリンと結合し、蛋白分解作用は阻害される。4.しかし小分子基質に対するアミダーゼ活性は阻害されない。5.メチルアミン処理によりムリノグロブリン分子中のチオールエステル結合は切れ、プロテアーゼ阻害活性は失われる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] A,Saito;H,Sinohara: Journal of Biological Chemistry. 260. 775-781 (1985)
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[Publications] K,Yamamoto et al.: Biochemistry International. 10. 463-469 (1985)
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[Publications] A,Saito;H,Sinohara: Journal of Biochemistry. 98. 501-516 (1985)
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[Publications] F,Kitame et al.: Virus Research. 3. 231-244 (1985)
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[Publications] F,Kitame et al.: Biochemistry International. 5. 649-652 (1986)
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[Publications] Y.Suzuki;H,Sinohara: Biological Chemistry Hoppe-Seyler. 367. 579-589 (1986)