1986 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系におけるプロスタグランジン合成酵素(シクロオキシゲナーゼ)の局在
Project/Area Number |
60580158
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
渡邊 恭良 阪医大, 医学部, 講師 (40144399)
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Keywords | 中枢神経系 / プロスタグランジン / シクロオキシゲナーゼ / 細胞局在 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
牛精のう腺より均一精製したプロスタグランジンエンドパーオキサイド合成酵素(シクロオキシゲナーゼ、PES)のモノクローナル抗体を用いて、牛脳の各部位におけるPESの局在を免疫組織化学的手法で調べてきた。大脳皮質・海馬・尾状核などPES活性の高い部位で、グリア細胞・血管内皮細胞のほか、典型的な神経細胞である錐体細胞などに陽性所見が見られたが、個体間のばらつきが多く、再現性のある結果は得られていない。また、発生・分化に関する局在の検討を行うため、牛胎児の脳より成牛の脳まで固定法の再検討をしたが、組織の保存が余り良くないので良好な結果が得られなかった。これらの結果は、牛の臓器を用いていることで、と殺場より入手する際、死後時間の不定、血液の残存,弾傷の存在など多くの不利な条件が原因となっていると思われる。モノクローナル抗体PES-7とPES-5は、ラットの臓器のPESと反応しないことが判っており、適当な実験動物を捜す必要に迫られた。そこで、今回、サルやヒトの血小板のPESとの交叉性を調べたところ、サルのPESとは交叉するので、サルを用いて、左心室より灌流固定し、血液を除き、免疫組織化学的検索を再試している。また、PESの抗原性が固定により失われるかどうかを固定後のPESのimmunoblotting法や、ガラスビーズに固定することなどにより検討し、パラホルムアルデヒド2%溶液に6時間浸漬することや2.5%グルタルアルデヒド溶液に1〜2時間さらすことでは、抗原性は有意には低下しないことがわかった。
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[Publications] 坪倉省吾,渡辺恭良,鏡山博行,杉本隆,B.Langstrom: 生化学. 58. 1061 (1986)