1986 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける18世紀後半の乾湿分布復元とその総観気候学的考察
Project/Area Number |
60580199
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
三上 岳彦 お茶大, 文教育学部, 助教授 (10114662)
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Keywords | 歴史時代 / 気候変動 / 宝暦・天明の飢饉 / 気圧配置型 |
Research Abstract |
昨年度にひき続き、各地の藩日記を中心とした天候記録の収集を行なった。今年度に新たに収集した日記類は下記の通りである。 高野家記録(仙台):宮城県立図書館所蔵(但し、1786〜88年は欠本)。北家御日記(角館):秋田県立図書館所蔵(但し、1769年以降は天候記録が記載されていない)。 守山藩御用留帳(郡山):郡山市立郷土資料館所蔵(欠測はほとんどない)。杉浦家歴代日記(京都):京都府立総合資料館所蔵(但し、1782年以降)。臼杵藩日記(臼杵):臼杵市立図書館所蔵(欠測はほとんどない) 今年度は上記の新しい資料を加えて、全国の毎日の天候分布図を作成したが、特に資料の比較的多い東北地方について、18世紀後半の50年間の天候分布型の分類と、それらをもとにした気圧配置型の復元を試みた。その結果を要約すると次の通りである。 (1)宝暦の飢饉年を含む1750年代および天明の飢饉年を含む1775〜90年の期間中は、天候分布型出現率の年々の変動幅が大きく、気候の不安定な年代であったと推定される。 (2)天候分布型の出現特性としては、7.8月の場合、1760年代から70年代前半にかけてG型(東北全域が晴天)が出現しやすかったが、A型(東北全域が曇雨天)は逆にこの期間に出現率が低下したことなどがある。 (3)現在の天侯分布型と気圧配置型との対応関係にもとづいて、18世紀後半の暖候期の気圧配置型を推定した結果、【IV】型(前線型)および【V】型(南高北低の夏型)ともに、1750年代および1775〜90年には年々の変動幅が大きかったこと、また【IV】型は1750年代後半および1770年後半から80年代前半にかけて出現率が低下の傾向にあったことなどが判明した。
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