1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60580203
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
塚田 公彦 鹿大, 教育学部, 教授 (40041181)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 脩二 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (80064731)
|
Keywords | 火山噴火 / 降灰 / 水文環境 / 酸性雨(雨水のPH値) |
Research Abstract |
表記の課題による研究は今年度が第2年次であり、最終年次となる。ここでは前年度の報告書概要において、残された課題についてのその後の成果の概要を中心に、実施計画に従って報告する。 1.既存の気象・降灰に関する資料収集に加えて、降水の都度、その降水量風向(鹿児島大学教育学部屋上における)やPH値の測定は現在も継続実施中であり、報告書に取りまとめてある。 2.桜島噴火の影響が著しい地点として、初年度に約10地点を選定し、測器を配置し、PHその他数項目の測定を依頼したが、諸般の事情から統計的処理を行うに足る結果が得られたのは4地点であった。得られた結果の詳細については報告書に譲るが、降水のPH値の頻度分布は4.0〜5.0の場合が約50%を占め(鹿児島市内の例)、明らかに「酸性雨」現象が把握された。しかも、その出現頻度はすこぶる高い。初年度においては、桜島の噴火回数が多く、降灰量も多かったので、この事実について肯首できるが、今年度に関しては、必ずしも火山噴火の影響とだけ結びつけて考えられないような点も認められる。この点に関しては今後、報告書のデータを利用して詳しく分析・考察を試みる予定である。 3.本研究課題とは別に行った(鹿児島大学南方科学資料センター報告)、桜島周辺の降灰影響調査報告の結果に基づく地域区分を利用して、湧水,河川水などの水文環境に対する影響についても調べてみた。その結果、降灰量とPH値の地域的分布の関連から把えた場合、「酸性雨」の影響は大隅半島側に大きく現われていることも判明した。しかし、これは相対値であり、PHの絶対値でみる限り、7.0以上の平均値が得られ、水文環境への大きなインパクトとなっているまでには至っていない。この点に関する分析も今後の課題である。
|