1986 Fiscal Year Annual Research Report
リュードベリ原子を負イオン源として用いた質量分析計の開発
Project/Area Number |
60840012
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 保 東大, 理学部, 助教授 (10011610)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 康雄 日本石油株式会社, 中央技術研究所, 所長
朽津 耕三 東京大学, 理学部, 教授 (30011456)
|
Keywords | 高励起リューベリ原子 / クラスター / 電子親和性分子 / 負イオン生成 / 負イオン質量分析法 / イオン化法 / イオン源 |
Research Abstract |
高励起リュードベリ原子、【R^(**)】の衝突による電子移動を用いて、垂直電子親和力が正である分子やクラスターの負イオンを生成する実験を行なった。以下に結果を箇条書きで示す。 (1)C【Cl_4】クラスターから【(CCl-4)-m】からの負イオン生成を用いて、イオン源の特性を調べた。これらの結果はこのイオン化過程が質量分析のイオン源として利用できることを示している。 (2)【(H-2O)-m】【(NH_3)_m】などに電子が効率よく付着し、【(H_20)(^~7~m)】や【(NH_3)(^-_m)】 などのクラスターイオンが非常に効率よく生成することが見出された。また、電子衝撃イオん化法との比較検討を行ない、【(CO_2)_m】のイオン化では、【Rg^(**)】による負イオン生成が電子衝撃法よりも【10^4】倍程度大きくなることが明らかになった。さらに、【(CO_2)_n】【O^-】のような分解生成物も観測されなかった。(3)主量子数が大きく(電子の有効速度が小さく)しかも選別された【Rg^(**)】を生成し、、イオン化効率とイオン化の特異性を高めることを目的として、新しいイオン化室と装置を設計製作した。Xeを電子衝撃してXeの準安定原子を作り、その原子にレーザーを照射して、【Xe^(**)】を作る。現在装置を調整し、予備的なデータを得つつある。 (4)これらの結果を総合して、実用化テストの第一段階に入っていった。まず、日本石油中央技術研究所の磁場偏向型質量分析計のイオン化室をとり除き、新しく設計した2種類のイオン化室を設置した。C【Cl_4】+【Xe^(**)】→C【Cl_3】+【Cl^-】+【Xe^+】の反応を用いて、これらのイオン化室の性能を調べた結果、現在東大で使用中のイオン源に基ずいて設計したものがより優れた性能を持っていることが明らかになった。 (5)上記(4)で試験された東大型イオン源を用いて、ベンズトリアゾールをはじめとする電子親和力が大きな分子のイオン化実験を行なった。【Xe^(**)】の生成効率や電子移動率を含めた全体としてのイオン化効率は、かなり大きく、実用化の可能性が高いものと思われる。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] K.Mitsuke;T.Kondow;K.Kuchitsu: J. Rhys. Chem.90. 1505-1506 (1986)
-
[Publications] K.Mitsuke:T.Kondow;K.Kuchitsu: J. Phys. Chem.90. 1552-1556 (1986)
-
[Publications] T.Kondow;T.Nagata;K,Kuchitsu: Atomic Collision Research in Japan, Progress Report. 12. 82-87 (1986)
-
[Publications] T.Kondow;K.Kuchitsu: Mass Spectroscopy. 34. 339-349 (1986)
-
[Publications] T.Kondow;K.Kuchitsu: International Workshop on Ionized Cluster Beam Technique. 71 (1986)
-
[Publications] T.Kondow: J. Phys. Chem.
-
[Publications] 山内薫,近藤保: "クラスターの化学,分析研究35巻,445" 19 (1986)