1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60840014
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野依 良治 名古屋大学, 理, 教授 (50022554)
|
Keywords | スーパーカチオン / スーパーアニオン / 超反応剤 / トリス(ジアルキルアミノ)スルホニウム(TAS) / nakedness / アルキル化反応 / アシル化反応 / アルドール反応 |
Research Abstract |
極性分子A-B←→【A^+】【B^-】はそのままあるいはイオン(対)に解離して化学反応に関与する。A部分は酸、親電子剤あるいは酸化剤として働き、B部分は塩基、求核剤または環元剤として振舞う。A,Bの反応性はその共役部の性質に左右される。【A^+】,【B^-】はその共役部の化学反応性を減少あるいは消滅することにより、その生来の性質があらわになりスーパーカチオン,スーパーアニオンいわゆる超反応剤となる。両者の構造、反応性を詳細に検討することによりこれらの有機化学は完成し、特徴を相補的に活用することにより合成化学の進展がもたらされる。本研究ではスーパーアニオンの有機反応に焦点をおき研究を行ってきた。アニオン部Bの塩基性、求核性の増大のために、【A^+】が金属カチオンの場合には各種クラウンエーテルやクリプタンドによって錯体化し、【B^-】部を活性化する方法が従来とられてきたが、この錯体化は本室的に平衡反応であり、アニオン部活性化は常に十分とはいえない。一方【A^+】としてかさ高く、閉殻構造をもつオニウムイオンを用いることにより【B^-】の十分な活性化を実現し得る。本研究者は特異な立体的、電子的構造を有するトリス(ジアルキルアミノ)スルホニウム(TAS)イオンの合成に成功し、その電導度および【^1H】-,【^(13)C】-NMRスペクトルの検討から、アニオン種は比類なきnakednessを獲得していることを確認した。さらに、有機合成化学で中心的役割をはたすフェノキシドとエノラートのTASによるスーパーアニオン化を図り、アルキル化反応、アシル化反応およびアルドール反応において、その有用性を示した。非水溶液中の裸のアニオンの挙動解明は有機化学の重要課題の一つであり、本法の適用がここに貢献するところは少なくない。なお、本研究費は課題研究推進の原動力ともいえる備品類および消耗品の購入のために有効に使用された。補足部分については本研究室の現有設備を利用した。所期の目的は完全に達成されたことを報告したい。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] J.Am.Chem.Soc.105. (1983)
-
[Publications] J.Am.Chem.Soc.107. (1985)
-
[Publications] Chem.Lett.(1984)