1985 Fiscal Year Annual Research Report
ビオプテリン補酵素の大量合成を目ざしたポリオール中間体の立体選択的合成
Project/Area Number |
60840015
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松浦 貞郎 名古屋大学, 教養, 教授 (70023546)
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Keywords | ビオプテリン補酵素 / 不斉エポキシ化 / プテリン環化反応 |
Research Abstract |
次の2項目にしたがってビオプテリン補酵素の化学合成経路の改良研究を行い、それぞれに示したような結果を得ている。 1.ビオプテリンの側鎖合成に使用されてきた、天然糖に代る原料として、(3S,4S)-2,3,4-トリヒドロキシペンタナールをアリルアルコール類から化学合成する方法を検討した。合成の鍵段階は二重結合を立体選択的に不斉エポキシ化することであるが、基質にアルデヒド官能基が存在するため直接エポキシ化を行うことはできない。アルデヒドを酸以外の反応剤にて脱保護することが可能であり、かつ塩基性・酸化性・還元性の条件下にて変化することのない基によって保護する必要性が生じた。このような条件を満たす保護基は非常に限られており、新しい保護基の開発が必要である。現在保護基としてβ-トリメチルシリルエチルアセタールを開発して実験中であるが、脱保護の条件等をモデル化合物(cis-エポキシシンチムアルデヒド)の合成を行うことにより検討している。 2.エポキシドを利用する新しいプテリン環合成法を検討した。α,β-エポキシアルデヒドと0-フェニレンジアミンとの縮合により、30-80%収率で目的とする2-ヒドロキシアルキルキノキザリンが選択的に得られた。さらにこの反応を2,4,5-トリアミノ-6-ヒドロキシピリミジンに適用し、エポキシクロトンアルデヒドを用いて47%収率で6-(1′-ヒドロキシエチル)プテリンが得られた。環化は位置選択的に進行し6置換プテリンのみを得ることから、本方法は目的とするビオプテリン補酵素の化学合成に適用可能であることが判明した。これらの結果については、近日中に報文として発表する予定である。1で行っている保護基の開発が完了すれば、課題を達成できる見通しとなっている。
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