1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60850001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 伝次郎 東北大学, 理, 教授 (50004239)
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Keywords | 位相差電子顕微鏡法 / 透過型走査電子顕微鏡 / ローレンツ電子顕微鏡法 / 磁区観察 / 磁壁 / 磁化分布 |
Research Abstract |
本研究は、市販の透過型200KV走査電子顕微鏡を用いて位相差電子顕微鏡(DPC-STEM)法による磁区観察を可能にすることを目的とする。本年度の目標は次の条件を満たす対物レンズ・ポールピースの設計・試作である。すなわち、 1.試料上で直径100Åあるいはそれ以下の電子プローブを得、 2.試料位置でレンズの磁界がシールドされ、漏洩磁束が高々3ガウス程度であること、である。 予備実験に用いたポールピースは照射レンズの機能をもつ上部ポールピースと結像レンズの機能をもつ下部ポールピースから成り、その中間が磁気的にシールドされて試料位置となるが、照射側の励磁磁界が弱いために試料上での電子プローブ径を350Å以下にすることができなかった。本研究では、ポールピースの形状および寸法に改良を加えることによってプローブ径を小さくする方針をとった。 具体的にはコンピュータ・シミュレーションによるレンズ計算により基本設計を行なった。その結果、試料上での最小プローブ径が80Å、漏洩磁束が3ガウスとなるレンズの設計が得られ、ポールピースの製作を行なった。ポールピースの材質には純鉄を用いた。径80Åのプローブを得る際のレンズの励磁は5990AT、上部ポールピースの焦点距離は11.2mm、下部ポールピースの値は11.9mmである。これをJEM-2000FX電子顕微鏡に装備することにより、透過電子顕微鏡像を最高20万倍、分解能15Åで観察することが可能となり、DPC-STEM法による磁区観察のみならず、通常のローレンツ法による磁区観察も可能となる。製作したポールピースの試験を実施した結果、ほぼ計算通りの性能を有することが明らかとなった。現在、CoおよびFe-Ni合金単結晶についてDPC-STEM法による磁区観察の予備的実験を実施中である。
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