1985 Fiscal Year Annual Research Report
実動条件下の高温材料および火炎診断用高速熱放射スペクトル計測装置の開発
Project/Area Number |
60850039
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
国友 孟 京都大学, 工, 教授 (50025938)
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Keywords | 熱ふく射 / 熱物性 / 高温 / ふく射率 / 高速スペクトル計測 / 酸化 / 腐食 |
Research Abstract |
本研究は、工業装置の実動条件下で安定ではない構造材料の温度、表面状態、あるいは非定常燃焼火炎の温度・燃焼ガスの分布状態などを高速検知・診断するための熱放射スペクトル計測装置を開発し、またそのスペクトルの解析手法を確立することを目的とするものであり、本年度には、以下の段階にまで到達した。 (1) 高速スペクトル計測装置は、計65検知素子からなる可視近赤外・赤外・遠赤外素子列の回折格子/プリズム分光系を、それぞれ電子的に走査し、3波長域の変換はモータ系により行って、広領域のスペクトル情報を次々にコンピュータにとり込み、デジタル処理・解析する方式のものとした。現在、0.35〜4.0μmの49波長点のスペクトルを0.5秒以下ごとに計測できる段階に達した、遠赤外20μmへの拡張研究は、分光・検知系の整備を終えて、信号増幅系の試験をくり返す段階にある。同時開発中の多目的計測用光学系としては、正反射・拡散反射・ふく射の同時計測系を準備し、すでに次項の実験研究に供している。 (2) 本計測系の熱放射物性研究における有効性をまず検証するため、銅と普通鋼・耐熱鋼の高温大気酸化過程における熱放射性質の推移を調べた。表面酸化被膜の形成・成長と、同時に起こる 再結晶のために光子渉現象が明確に推移し、また正反射率と拡散反射率の挙動が特徴的に推移するようすが観測できた。これらの現象を解析して表面のミクロな構造の推移のメカニズムを知り、表面でのマクロなエネルギ収支を評価する物理モデル開発の可能性を見出すことができた。 (3) 燃焼火炎の診断のための基礎研究としては、おもに数値実験による検討を行った。0.1μmごとに計測するふく射スペクトルと既知の【H_2】O,【CO_2】などの赤外活性気体の吸収係数の知見を基にして、反転解析を行う研究の構想の実現性を確認できた段階にある。次年度には、以上の成果を基に、多角的な、具体的な"もの"についての研究をくり返す予定である。
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Research Products
(2 results)