1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60850045
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
梅谷 陽二 東京工業大学, 工, 教授 (20013120)
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Keywords | マイクロマニピュレータ / ロボット / 細胞操作 / 遺伝子工学 / 顕微鏡操作器具 / 画像処理 / サーボマニピュレータ |
Research Abstract |
顕微鏡下において、プレパラート上に置かれた真核(大きさ;約5ミクロン)をもつ生物細胞(大きさ;10〜80ミクロン)を操作対象とし、この細胞を微小操作器で切断、切除、開口などの手術を行ない、さらに細胞内の核を吸出して他の遺伝子断片を注入するなどの操作を、非熟練者でも自由に行なえるようなマイクロマニピュレータ(微小操作器を含む)を開発するのが本研究の目的である。その背景として最近のバイオテクノロジーの急速な展開がある。たとえば、遺伝子組替え手法を真核を持たない微生物を宿主とする生理活性物質の生産に応用するにとどまらず、真核細胞を持つ高等生物の品種改良にまで拡大するためには、高等生物の細胞核内へ他の遺伝子断片を直接注入するなど、細胞内特定部位への自由な操作作業を容易かつ確実に行なう必要性に迫られている。本研究は、このような要求に直接応えるため、細胞を対象とした操作性の極めてよい能率的な手術装置を提供しようとするもので、これにより今までごく少数の名人芸的な技能をもった人しかできなかった操作を一般の人々に開放しようとするものである。 今年度の途中経過としての成果は、バイモルフ型微小操作器の製作、制御駆動系の試作、顕微鏡画像処理系の試作など、主要な構成要素の試作、製作とその性能確認である。すなわち、バイモルフ型微小操作器をピエゾセラミックスを材料として製作し、別に作った制御駆動系でもって微小操作器の運動制御を行なった。その結果、微小操作器の先端で水平方向に500μm×500μm、上下方向に200μmの範囲内で速応性の十分に高い位置制御が可能となり、ヒステレシスの影響も補償できることが分った。また同じ運動範囲で顕微鏡画像処理系と連動させることにより、微小操作器先端の焦点合わせ、先端運動軌跡の追跡、ピペット液適量の計量などはすべて自動化できることを立証した。
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