1985 Fiscal Year Annual Research Report
固有値解析に基づく有効座屈長を用いた骨組構造物の設計の精度と実務に対する応用
Project/Area Number |
60850087
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 彰夫 東京大学, 工, 助教授 (50024360)
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Keywords | 骨組構造 / 座屈 / 耐荷力 / 固有値解析 / 有効座屈長 / 設計基準 |
Research Abstract |
研究初年度として、数値解析の対象としては最も基礎的な梁部材を取上げ、固有値解析の結果を取り入れた設計手法の可能性を検討し、以下の成果を上げた。 1)梁の面外挙動に対する陽な表現による剛性方程式を用いて線形化弾性有限変位解析を行った。幾何剛性マトリクスを線形化することによって、荷重に対する変位挙動が簡単に追跡できることを示し、ねじれを含む梁-柱の座屈挙動の解析法を確立した。また、簡単な梁部材を例として数値解析を行い、非線形解析の結果との比較により精度の検証を行い、比較的変形が小さい範囲内の解析においては線形化有限変位解析の精度は実用的に問題がないことを した。 2)線形化有限変位解析による変位応答解析と、断面内の最大応力が材料の降伏応力に達したときを梁の終局状態とするという仮定を用いることによって、梁の横倒れ強度を近似的に求めることができる事を示した。一方、固有値解析による横倒れ座屈荷重が、支持条件・荷重条件などを反映していることから、これをパラメーターとして用いることにより、合理的な横倒れ強度曲線を求め得ることを示した。このようにして得られた耐荷力曲線は、支持条件・荷重条件等の影響を含んでおり、本来それらの条件に依存しないものと考えられる。 3)しかし、実際に解析より求めた強度曲線は荷重条件・支持条件によるばらつきを示している。このことは、特定の条件のもとで耐荷力曲線のみに基づいて行なう現行の設計法の妥当性に疑問を提起するものと考えられる。初年度において研究・開発された手法を一般化し、非弾性の影響も含め、骨組構造物に応用することにより、より合理的な設計手法を確立し得るものと考えられる。
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Research Products
(1 results)