1985 Fiscal Year Annual Research Report
都市域での流出ハイドログラフの制御を可能にする浸透基盤構成法の開発に関する研究
Project/Area Number |
60850099
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
玉井 信行 東京大学, 工, 教授 (90010818)
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Keywords | 都市流出 / 流出制御 / 不飽和浸透 / 地盤構造 |
Research Abstract |
不飽和浸透の物理モデルについては、毛細管を網目状に配した中での水柱の挙動により、不飽和浸透の基本的な特性が再現できるか否かを検討した。先ず最初に、毛細管の中での運動に関与する慣性項,重力項,表面張力項,粘性項の相対的な重要度を調べるために、一様な毛管中での水,エタノール,シリコンオイルの液柱に対して実験を行なった。その結果、支配的な項は重力項と表面張力項であり、慣性力は無視できることが分かった。さらに、壁面に付着する液体膜の厚さ、液柱の下端と上端での接触角の相違およびその大きさを定めることができた。 実際の土中間隙の幾何特性をより良く反映させるために、管径が平均値の周りに正弦的に変化する変断面の毛細管モデルへを発展させた。この場合には断面の拡大・縮小に伴なう圧力勾配の変化のため、付加的な抵抗力が作用し、これを合理的に見積ることが重要になる。準定常状態を考えて、ナビエー・ストークスの式を断面内で積分することにより、付加的な損失項を見積ることが可能であることが分かった。 層構造の鉛直配置の効能については、表土層の下部に高い透水性の砂礫より成る浸透部を設けた実験を行なった。初期に表層の水分量が存在するときには、砂礫浸透パイプを設けたモデルでは流出ピークの低減が見られ、基盤構成法により流出制御を行える可能性が示された。 水平層構造の基盤を対象に、飽和・不飽和浸透流の数値シミュレーションを行なった。基盤の大きさは平面で21.5mと12mの長方形である。数値モデルでの水理地盤定数を適宜選択し、昭和60年の台風6号の降雨に対する集水管からの流出量をほぼ正しく予測できた。しかし、同定された地盤定数は従来の例から見て妥当であると思われるが、サンプルテストの値とは大幅に異なり、原位置試験法の改良が望まれる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Tamai,Asaeda,Jeeva: 水理構演会論文集. 第30号. (1986)
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[Publications] 玉井,浅枝,塚原: 土木学会年次大会講演集. 第40号-【II】. (1985)
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[Publications] 玉井,浅枝,田中: 土木学会年次大会講演集. 第40号-【II】. (1985)
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[Publications] 渡辺,山中: 水理講演会論文集. 第30号. (1986)
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[Publications] 渡辺,大矢: 土木学会年次大会講演集. 第40号-【II】. (1985)