1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60850122
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢沢 彬 東北大学, 選鉱研, 教授 (30006019)
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Keywords | 有機溶媒 / エタノール / 晶析 / 重金属硫酸塩 / 硫酸ニッケル / 硫酸銅 / 銅電解 |
Research Abstract |
有機溶媒を用いる省エネルギー晶析法の銅電解廃液処理工程への適用を検討するため、基本となるNi【SO_4】-Cu【SO_4】-【H_2】O系ならびにこれにエタノールを加えたNi【SO_4】-Cu【SO_4】-【H_2】O-【C_2】【H_5】OH系の25℃における相平衡について研究した。さらにこれらの系に硫酸が共存する場合の影響についても調べた。相平衡実験は分析的方法により、成分イオンの分析には自動滴定装置を用いた。得られた知見は以下に要約される。 1.硫酸ニッケル-硫酸銅混合塩水溶液系の溶解度等温線は二本の折線で表わされ、対応する平衡固相はそれぞれほとんど純粋な硫酸ニッケルあるいは硫酸銅の結晶である。共晶点の塩濃度/mol・Kg-【H_2】【O^(-1)】は Cu【SO_4】a78,Ni【SO_4】2.18と見積られる。 2.上述の混合塩水溶液系にエタノールが加わった混合塩混合溶媒系では、エタノール濃度の増加とともに、これら塩の溶解度は顕著に低下し、それぞれ0に近づく。 3.得られたデータに基づき、エタノールを用い、Ni【SO_4】を含むCu【SO_4】飽和溶液からCu【SO_4】を晶析分離する場合について考えると、Cu【SO_4】の晶出率はNi【SO_4】濃度に規制され、例えばNi【SO_4】濃度が0から1モルまで増大すると、晶出率は98%から78%程度に低下する。この場合の必要エタノール量は水1Kg当り0.43から0.23Kgに減少し、母液中のCu【SO_4】濃度は0.01から0.35モル程度まで増大する。 4.本混合塩水溶液系に水1Kg当り3モルの硫酸が共存する硫酸酸性溶液中では、塩の溶解度は相対的に減少し、共晶点の塩濃度はCu【SO_4】0.4,Ni【SO_4】1.2モルとなる。エタノールの添加によりCu【SO_4】の分別晶析が可能な溶液中のCu【SO_4】/Ni【SO_4】重量モル濃度比は、硫酸が共存しない系で0.37であるが、硫酸共存の場合では0.32となり、分別晶析には幾分有利である。 以上の結果については日本鉱業会誌への掲載が決定している。
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