1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60850122
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢沢 彬 東北大, 選鉱製錬研究所, 教授 (30006019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 英一郎 東北大学, 選鉱製錬研究所, 助手 (90173864)
岡田 茂 東北大学, 選鉱製錬研究所, 助手 (40006036)
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Keywords | アルコール晶析法 / 混合硫酸塩溶液 / 相互溶解度 / 分別晶析 / 廃液処理 |
Research Abstract |
アルコール類など水混和住有機液体を用いる晶析法の適用が有望と考えられる現行の製錬工程のうち前年度の銅電解廃液処理工程に続き、本年度はニッケル電解の浄液工程を想定し、試薬調合試料を用いて、必要な基礎データを整備した。 ニッケルの電解では、ニッケルがかなり卑な上水素過電圧が小さいため、狭い巾のpH制御が必要であり、緩衝剤として【Na_2】【SO_4】などが用いられる。また、Naなど卑な金属成分の増加は電流効率を低下させ、ナトリウム塩の析出によるパイプの閉そくなどの問題もあり、適正な液組成の制御が要求される。そこでまず、Ni【SO_4】-【Na_2】【SO_4】-混合塩水溶液系の相平衡関係を明らかにし、この混合塩系に有機液体を加え、要求される電解液組成に制御することを検討した。 Ni【SO_4】-【Na_2】【SO_4】-【H_2】O系には【Na_2】【SO_4】塩、Ni【SO_4】塩ならびに複塩【Na_2】Ni【(SO_4)_2】との平衡域が存在し、複塩の生成域は温度に敏感で低温域では縮小し、17℃では消滅する。この系に関し報告されたデータには相互にへだたりがあるが、従来のデータをも比較検証し、常温から電解温度域における相平衡データを確定した。 上述の水溶液から【Na_2】【SO_4】塩を分別晶析するためにはメタノールの添加が最も有効であり、メタノールはNi【SO_4】の溶解度をそれほど低下させずに、【Na_2】【SO_4】の溶解度を大きく低下させる。このため、複塩の生成域が低【Na_2】【SO_4】域に移行縮小し、常温附近での【Na_2】【SO_4】塩の晶出がより有利となった。 なお、ニッケル電解液には塩素イオンが添加される場合が多く、この影響についても調べたが、塩素イオンの共存下ではナトリウム塩の分別晶析が困難になると考えられ、今後の問題点として指摘される。
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[Publications] Shigeru Okada;Akira Yazawa: Metallur.Rev.of MMIJ. 3. 48-60 (1986)
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[Publications] 岡田茂,矢澤彬: 日本鉱業会誌. 102. 597-601 (1986)