1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60850140
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
合志 陽一 東京大学, 工, 教授 (90111468)
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Keywords | トンネル効果 / 非弾性トンネルスペクトル / 表面分析 / 圧電素子 / 走査型トンネル顕微鏡 |
Research Abstract |
物質の表面は近年特にその重要性が認識されている。走査型トンネル顕微鏡は表面の形状の測定法として開発されたが、表面の化学的情報も重要である。そのため本研究では有機薄膜を含む表面のトンネル分光分析が可能な装置の試作を目標とした。本装置は大別して【◯!1】真空装置【◯!2】アクチュエータ部【◯!3】防振装置【◯!4】冷却装置の4つの部分から成る。【◯!1】真空装置:装置のフレキシビリティ、製作に要する時間等の点から標準型の真空装置を改造する方法をとった。ベーキングは行なわずセラミックス等をベルジャ内に入れるためにイオンポンプは排気速度の大きいもの(500e/s)を用いる。【◯!2】アクチュエータ部:従来の走査型トンネル顕微鏡より小型でリジッドな構造にするため、粗調整は積層型圧電素子と切り欠き拡大機構の組合せによるステップモータで行ない、微調整は単層圧電素子で行なうよう設計した。他の機構によるモータも検討中である。【◯!3】防振装置:冷却効率からは磁気浮上型が望ましいが、防振性能ではスプリング型に劣るので後者を採用した。防振は2段階に行ない、各段階ともスプリングは3点で支える。ダンパには冷却を考慮して磁気ダンパを用いた。【◯!4】冷却装置:アクチュエータ部の冷却のため液体窒素(又は液体空気)溜込み式のタンクと熱輻射を低減させるためのフロー式シュラウドを製作した。冷却時には電磁石でアクチュエータ部を載せた銅板をタンクに密着させ、冷却後分離して防振する機構を導入した。以上の装置の設計を完了し、本報告作成時点で試作がほぼ終わっている。なおトンネル分光装置は液体窒素あるいは液体ヘリウム中という別の条件下での測定の必要性が言われており、超高真空中での測定に並行して行なわれるべきである。そのための予備実験として常温・大気圧下での測定を行なった。現在のところ、まだ安定性が低くスペクトルの測定までは至っていないがトンネル電流と考えられる信号を観測した。
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Research Products
(1 results)