1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60850146
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 昭夫 九州大学, 工, 教授 (50037727)
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Keywords | 噴霧熱分解法 / 銀微粒子 |
Research Abstract |
本研究は、集積回路などの電導ペースト材として広く利用されている貴金属微粒子を噴霧熱分解法を用いて凝集のない粒径1μm以下の球状粒子として製造する方法を確立することを目的としている。今年度は銀粒子の製造を試み以下の結果を得た。 本実験では、硝酸銀の水溶液を超音波を使って微粒霧状にし、酸素をキャリアガスとして酸水素炎中(最高温度約2800℃)に供給し、粉体を生成させた。生成粉体はほぼ球状の微細な銀粒子(0.02〜0.15μm)であったが、一部に融着した粒子も認められた。 (1)合成条件が生成粒子の粒径におよぼす効果 生成粒子の粒径は、同伴空気量、反応液濃度とその供給速度、酸素水素比により変化した。中でも反応液濃度と供給速度、すなわち銀の供給速度の効果は大きく、火炎中への銀の供給速度を調節することにより生成銀粒子の粒径の制御が可能であることがわかった。 (2)銀粒子の生成過程 生成した銀粒子の粒径は、反応液の液滴径から算出した値の数百分の一と非常に小さい。しかし、火炎中の高温域が減少するような条件下で生成した銀粒子には極端に粒径の大きな粒子が混在している。これらの結果と火炎の温度が銀の沸点2210℃よりもかなり高い、ということから、反応液から熱分解によって生成した銀粒子のほとんどが火炎中で蒸発し、蒸気相から凝縮して微細な銀粒子になったと考えられる。上記した大粒子は熱分解で生成した銀粒子が蒸発することなくそのまま凝固したものと思われる。 以上により微細で均一な銀粒子を得るには、銀が完全に蒸発するような条件が必要であることがわかった。 研究費は主として粉体合成用試薬、高圧ガス、反応器材の購入に使用した。
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