1985 Fiscal Year Annual Research Report
形状異方性を持つ粉体を利用したフェライト系広帯域電磁シールド材の試作
Project/Area Number |
60850147
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山口 喬 慶応義塾大学, 理工, 教授 (90051226)
|
Keywords | 形状異方性 / NiZnフェライト / MnZnフェライト / フラックス法 / 電磁シールド材料 |
Research Abstract |
形状異方性をもつ各種フェライトの合成を検討し、NiZnフェライト(板状,針状)およびMnZnフェライト(板状)の合成条件を決定した。以下に要点を述べる。 1. NiZnフェライト:フラックスの化学種、出発酸化物粒子径などが粒子の変形に及ぼす影響を主として調べた。NiZnフェライト粒子の変形は、NiZnフェライトに先立って生成するZnフェライトに対して高い溶解度をもつフラックスほど著しいことがわかった。この溶解度はNaClが最も大きく(NaK)Cl,KClがこれに次いだ。硫酸塩系のフラックスは一般に溶解度が大きかった。これらの実験結果から、板状及び針状のNiZnフェライトの合成条件としては、フェライトの約4倍のKClフラックスとNiO微粉を用い、900℃で1〜2時間加熱することが適当であることを見出した。 2. MnZnフェライト:MnZnフェライトの合成に際しては、出発物質からの酸素の放出をスムースに行わせることが最も重要であることに注目していろいろの角度から検討した。融点の異なる硫酸塩系フラックスを用いて実験を行った結果、融点の低いものほどスピネル相が低温で生成したにも拘らず、満足すべき飽和磁化率やキューリー点を実現することができないことがわかった。このことから、与えられた組成のスピネル相を実現するためにはできるだけ高い温度まで液相の出現を抑制しておくことの必要性が示唆された。これに関連して酸素の脱離が円滑に進行するように、原料混合物の充填状態を制御する必要があることが示された。以上の結果を総合して、【K_2】【SO_4】をフラックスとし、【N_2】中で1150℃に加熱することにより、MnO=25,ZnO=22,【Fe_2】【O_3】=53モル%の組成について、焼結体とほぼ同じ値の飽和磁化率をもつ板状フェライトが合成された。このようにして得られたフェライト粒子を用いて、電磁シールド材としての基礎特性を評価しつつある。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Amer.Ceram.Soc.Bull.64-9. (1985)
-
[Publications] J.Mater.Sci.印刷中. (1986)
-
[Publications] Ceramics Int'l.投稿中.