1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60850154
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 尚 名大, 工学部, 教授 (10135311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 展雄 名古屋大学, 工学部, 教務職員 (20109268)
古田 享史 名古屋大学, 工学部, 助手 (40173538)
丸岡 啓二 名古屋大学, 工学部, 講師 (20135304)
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Keywords | プロスタグランジン / ジアニオン / 不斉Diels-Alder / 不斉シクロプロパン化 |
Research Abstract |
昭和61年度では、60年度に得られた研究成果をもとにいくつかの新しい知見を得、プロスタグランジン合成手法の確立と工業的製法への展開の可能性を示すことができた。具体的には、ジアニオンを用いる不斉環化反応の成功に基づいて相乗的遮蔽効果の概念を導入し確立した。相乗的遮蔽効果とは、C2対称軸を有する分子の反応では対称型に配置された二つの不斉基による誘起効果が積の形で働くため、一つ一つの効果は小さくとも相乗効果により極めて高い不斉誘起を示すようになることを言う原理で、本研究によって初めてその高い実用性が実証された。この効果を利用することにより、大量入手可能なフマル酸ジメンチルエステルと各種ジエンとの不斉Diels-Alder反応でプロスタグランジンの基本骨格となりうる環化生成物を光学的にほぼ純粋に、しかも大量に供給する手法を確立することができた。例えば、ブタジエンとの反応では付加体を95%の不斉収率で、シクロペンタジエンとの反応では99%以上の不斉収率で得ることができた。また、実際シクロペンタジエンとの反応で得られた付加体を出発物質として合成した非天然型プロスタグランジン類縁体は高い生物活性を示し、本法の実用性を示すことができた。一方、酒石酸ジエステルのアセタールを用いるα側鎖の光学活性シクロプロパン誘導体合成でも多くの成果が得られた。すなわちω側鎖の随所に光学活性シクロプロパン骨格を導入することによってそのコンフォーメーションを固定化し、それによって広範な生理活性スペクトルの内のひとつを取り出すことが可能と思われる。まだ合成した誘導体の数は少ないが、このような原理でドラッグデザインしうる方法論を確立した。同様の手法によるHMG Co A Reductase阻害剤の合成にも成功した。
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[Publications] Akihiro Misumi: J.Am.Chem.Soc.,. 107. 3343-3345 (1985)
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[Publications] Isao Arai: J.Am.Chem.Soc.,. 107. 8254-8256 (1985)
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[Publications] Nobuo Ikeda: J.Am.Chem.Soc.,. 108. 483-486 (1986)
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[Publications] Nobuo Ikeda: Tetrahedron Letters. 27. 1175-1178 (1986)
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[Publications] Kyoji Furuta: Tetrahedron Letters. 27. 4507-4510 (1986)
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[Publications] Atsunori Mori: Tetrahedron. 42. 6447-6458 (1986)