1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60850156
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
飛田 満彦 都立大, 工学部, 教授 (60087301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春田 昌宏 キャノン株式会社, 中央研究所, 主任研究員
井上 晴夫 東京都立大学, 工学部, 講師 (90087304)
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Keywords | 機能性色素 / 環境クロミズム / アゾニア芳香族化合物 / アゾニアベタイン型色素 / ソルバトクロミズム |
Research Abstract |
我々が複素環化学および色素化学の研究途上発見した、2-(p-またはo-ヒドロキシスチリルバゾリル)ベンゾ[a]キノリジニウム塩およびその誘導体は、ベタイン型において媒体の極性や水素結合性に応じて、これまでに類例のすくない大きなソルバトクロミズム性を示した。本研究は、近年表示材料,記録・記憶材料として種々の機能を有する色素の要求の高まりから、我々の見出した色素のこれら機能性色素としての有効性を研究することを目的としている。研究成果を色素合成と物性に分けて報告する。 1.色素合成条件の確立 まず、重要な中間体である2-メチルベンゾ[a]キノリジニウム塩(I)の合成の改良・確立を行った。4-メチルピリジンから四級化-オレフィン化-光閉環の3階程の各段階の収率向上に留意し、安定した合成条件を確立に努めた結果、全収率40%に高めることができた。次に、Iと各種芳香族アルデヒドとの縮合反応において、溶媒・温度・塩基・時間等の反応条件を速度論的解析結果から検討し、色素を好収率でかつ良好な純度で得ることができた。 2.ベタイン型色素のスペクトル物性 種々の溶媒中における吸収スペクトルをTaftらが提案したLSER(線型溶媒和関係式)により整理し、ベタイン型色素が特に溶媒の水素結合供与能に対して感度が大きいことを示し、これを色素の電子構造の面から理論的考察を行った。また色素周辺の水の特異挙動が溶媒和層における水分子の集合状態に起因することを明らかにし、極性溶媒中における微量の水が大きなソルバトクロミズム性を与える原因を解明した。これらのことから、当色素を水の関与するソルバトクロミズム性に利用する際の要件を示した。極性溶媒中における色素のpKa,シクロデキストリンとの相互作用等について検討した。
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[Publications] 飛田満彦: IUPAC Conference 【VIII】 on Physical Organic Chemistry. 142 (1986)
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[Publications] 飛田満彦: 繊維学会誌. (1987)
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[Publications] 飛田満彦: Bulletin of Chemical Society of Japan. (1987)