1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60850157
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田伏 岩夫 京都大学, 工, 教授 (80025907)
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Keywords | 海水溶存資源 / ウラノフィル / 海水ウラン採取 / 複合吸着剤 / 海流利用採取システム / 希土類イオン |
Research Abstract |
海水中の溶存資源採取を可能にするため、極低濃度・多種高濃度の競争イオン種が存在するなかで、特定の溶存種のみを強力・高選択的に捕捉する吸着剤の分子設計に基ずく科学的原理の確立と、大量の海水を取扱う工学システムの探索を行った。先ずエネルギー資源として最も注目されるウラニルイオン吸着剤として開発した大環状ウラノフィルは、最大の平衡定数を示したが、大環状体固有、及びウラニル配位に特異的に見られるトポロジー的理由から、動力学的には不利であることを発見した。この点を解決すべく鎖状ウラノフィルの分子設計・合成を行った。本化合物は疎水的雰囲気で静電相互作用を有効に働かせると共に、配位のトポロジーを満たし、平衡・速度の両面から最も優れた配位子であることが立証された。その結果、海水の炭酸濃度条件下で大環状ウラノフィルに対し210倍も大きい速度を与えた。一方極低濃度に由来して、海水輸送にコストをかけない海流直接利用が将来の実用につながる方式であることを明確にし、このため速い海流速度の中で使用できる吸着剤の開発を行った。即ち微粒状吸着剤を繊維に保持した複合吸着剤を用いることにより、黒潮の平均海流速度付近で最大の吸着速度:200μgU/g吸着剤/日 を達成した。また京都大学人工海流循環装置を用いて、更に速い海流中でも損失が認められず、50回の繰り返し再使用で性能変化6%以下の優れた機械的・化学的安定性をも立証した。本複合繊維を用い、黒潮流軸内の伊豆御蔵島で8日間の海流直接浸漬実験を行い、g繊維当り、640μgUの高い吸着量を得、なお吸着量の直線的増加を観測した。 更に海水からの金属イオンの選択的捕集原理を高純度分離に展開するため、希土類イオン相互の分離に有効と考えられるヘキサアザ-18-クラウン-ヘキサ酢酸を合成、希土類イオンに対し大きい平衡定数と、高純度分離に必要な高い選択性を見出した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] J.Am.Chem.Soc.107-15. (1985)
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[Publications] Israel J.Chem.25. (1985)
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[Publications] Inorg.Chem.(1986)