1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60850158
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
北尾 悌次郎 大阪府立大学, 工, 教授 (10081324)
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Keywords | 光記録有機材料 / 機能性色素 / 赤外吸収色素 / キノン系赤外吸収色素 / キノン系機能性色素 |
Research Abstract |
高度情報化時代に対応して記録方式がますます集積化され、無機系材料を用いたレーザー光記録方式が実用化されている。当研究では将来の大量使用に供すべき有機光記録材料の開発に関連して、キノン系近赤外吸収色素の合成と物性について研究を遂行した。そして、その結果を学会発表と以下の論文によって公表した。 1. キノン系赤外吸収色素の合成デザインをPPPMO法を用いて行い、吸収スペクトルと構造の関係を定量化した。そして、合成の一環として、5-アミノ-2、3-ジシアノナフトキノンの8位直接アリルアミノ化反応によって750-800nmに吸収をもつ色素を新規に合成した。この色素は赤外光を強く吸収し、無機材料に比べて高感度の記録特性を示した。蒸着法によって薄膜を形成し、耐環境試験を行ったところ良好な結果が得られたことから、有力な光記録材料と評価できた。 2. ある種のナフトキノン系赤外吸収色素は溶液中で溶媒の極性変化に伴なって、キノン-キノンクミン互変異性平衡を示し大巾な色調の変化を示すことを見出したがこれらの結果は、可逆的な記録材料への応用に関連して興味深いので、その二色性と構造の関係を検討した。3〜5 ジハロゲノナフタザリンやキニザリンに2-アミノベンゼンチオールK塩を反応させると容易に縮合環化後、互変異性を伴なって対応するフエノチアジンキノン系赤外吸収色素が合成できる。これらの新規なキノン系色素は光記録材料としてすぐれた物性を示すことが判った。一方、対応するセレン同族体も同様にして、2-アミノベンゼンセレノール亜鉛塩との反応によって合成できることが判った。これらの色素はレーザー光記録材料用色素としてのみならず、光導電性色素としても興味深いことが判った。以上の結果、新規な有機系光記録材料として数多くのキノン系赤外吸収色素を提案することができ、その合成デザインと物性、構造の相関性について多くの成果を得た。
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[Publications] Dyes and Pigments. 6-No.1. (1985)
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[Publications] J.Soc.Dyers Colourists. 101-No.4. (1985)
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[Publications] Dyes and Pigments. 6-No.3. (1985)
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[Publications] J.Chem.Soc.Chem.Communications. 1985-No.9. (1985)
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[Publications] Chemistry Letters. 1985-No.9. (1985)