1985 Fiscal Year Annual Research Report
土壌-植物系における水およびイオン移動の研究への安定同位元素の利用
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60860008
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐久間 敏雄 北海道大学, 農, 助教授 (50001756)
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Keywords | 安定同位元素 / 重水 / トレーサー / 土中水分移動 / 土中イオン移動 / TCD-ガスクロマトグラフィー / 疎水性触媒ビーズ |
Research Abstract |
1.TCDガスクロマトグラフィーによる【D_2】O定量法の確立:自然存在比附近の低濃度【D_2】Oの測定法を重点的に検討した。軽水を電解して得られる低【D_2】キャリアーガスを用いることによって、【D_2】O 150-250ppmの範囲で、操返し精度0.3〜1.3%(変動係数)、再現性0.56〜0.81(変動係数)の高成度で【D_2】O濃度を測定できることを明らかにした。なお、異なる機関間でクロスチェックを行い、よい一致を示すことを明かにした。また、キャリアーガスとして軽水電解による【H_2】を用いることによって、自然存在比以下の濃度の【D_2】Oを精度よく定量できることを確めた。 2.供試液の精製、真空蒸溜(昇華)法を再検討し、改良した。すなはち、2mmHgの真空下で、温度70〜80℃の温浴中においた湿潤上試料から昇華法によって、コールドバス中に保持したトラップに試水を捕集する。この間に同位体効果は認められない。また、蒸溜装置を改良することによって、塊状の湿潤上試料から迅速に供試液を精製することを可能にすると同時に、塊状試料中の【D_2】O分布を推定できることを明かにした。なお、径30mm程度の塊状試料から試水を完全に抽出するには30〜45分間の蒸溜時間を必要とすることがわかった。土壌の種類による蒸溜条件調整の必要はこれまでのところ認められていない。 3.カラム実験による追跡実験:大型カラム実験によって、土層中の水とイオンの追跡実験を行ない、次の結果を得た。【◯!1】流出液及びカラム中の【D_2】O分布を調べることにより、水の移動と蓄積の状態を容易に、かつ正確に追跡できる、【◯!2】この際、同位体交換による誤差は小さく、【D_2】Oの回収率は100±3%の範囲におさまる、【◯!3】イオンと水の移動を分別測定することによって、土壌中の物質移動機構を解析するよい基礎資料が得られる。 4.現地実験への応用:現地ライシメータ2基を設置し、設置土壌の基礎的物理性を調べ、溶液採取装置を埋設し、【D_2】O実験の準備をした。
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