1985 Fiscal Year Annual Research Report
抗不整脈薬開発のための可逆的心室細動モデルの作成の研究
Project/Area Number |
60870008
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平 則夫 東北大学, 医, 教授 (60004553)
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Keywords | 心室細動モデル / イヌ摘出乳頭筋血液潅流標本 / ニコランジル / 期外刺激 / Kコンダクタンス |
Research Abstract |
抗不整脈薬の開発に当ってのスクリーニングの多くは、不整脈モデルを生体位の心臓に作成して行っている。多くの不整脈は不可逆的なので同一の標本を用いることができず、再現性においても難点がある。本研究においてはイヌ摘出乳頭筋血液潅流標本を用いて、可逆的かつ再現性の良い心室細動を誘発できるモデルを開発し、抗不整脈薬の開発に益することを目的としている。 心室細動の指標として乳頭筋標本の収縮力とエレクトログラムをポリグラフを用いて導出し、オシロスコープで観察し、レクチグラフやPCMレコーデングシステムにて記録した。乳頭筋標本にシリンジポンプを用いて、心筋においてKコンダクタンスを増加するニコランジルを持続動注すると、10分以内に0.3mg/分では0%、1mg/分では47%、3mg/分では90%の頻度で心室細動が生じ、ニコランジルの持続動注の間心室細動が持続した。1mg/分の持続動注により心室細動を生じない標本においても心室筋の不応期を求める手段、すなわち心室筋活動電位の再分極相に期外刺激を加えることにより、90%以上の頻度で心室細動を惹起できた。同一の標本において、ニコランジルの持続動注時間と、持続動注中止から細動消失までの回復時間の関係を検討すると、持続動注時間、3、6、10、15分に対し、回復時間は約4〜5分と不変であった。すなわちニコランジルは可逆的かつ再現性よく、なんらの蓄積的効果を示さず、心室細動を惹起し、ニコランジルが標本から消失すると、正常拍動が回復することを見出した。 以上の結果より、イヌ摘出乳頭筋血液潅流標本を用いてニコランジルの持続動注により可逆的かつ再現性の良い心室細動モデルを開発し得たと考えられる。
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