1985 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン依存性糖尿病実験モデルの確立とこれに基づく新しい糖尿病治療薬の開発
Project/Area Number |
60870011
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 典夫 東北大学, 医, 教授 (00004606)
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Keywords | インスリン依存性糖尿病 / 糖尿病治療薬 / 膵切除ラット / ストレプトゾトシン / アロキサン / 芳香族酸アミド / ラジカルスカベンジャー / 再生膵B細胞 / DNA複製 |
Research Abstract |
1.本研究で作製した90%膵切除ラットは、大量の尿糖排泄、インスリン依存性糖尿病特有の耐糖能異常、残存膵組織中のランゲルハンス島の萎縮とインスリン産生B細胞数減少を示し、インスリン依存性糖尿病の好モデルと考えられた。 2.催糖尿病物質(ストレプトゾトシン・アロキサンなど)投与ラットを用いた実験で、ニコチン酸アミド・3-アミノベンズアミドなどの芳香族酸アミド化合物が膵ランゲルハンス島B細胞のインスリン合成能低下を阻止し、糖尿病の発症を防止することが認められた。 3.スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼなどのラジカルスカベンジャーは、アロキサンなどによる活性酸素を介した膵B細胞の障害を防止した。 4.芳香族酸アミド化合物を90%膵切除ラットに連日投与すると、糖尿病の発症が防止されることが見い出され、その機構として残存膵組織中でインスリン産生B細胞のDNA複製が促進されB細胞の再生増殖が誘導されることが明らかにされた。 以上の結果から、インスリン依存性糖尿病の予防治療手段として、膵B細胞インスリン産生能の賦活さらには膵B細胞の再生誘導という従来のインスリン投与法に優る新しい方向が開かれたものと考えられ、今後芳香族酸アミド化合物を中心に新しい糖尿病治療薬が開発されることが期待される。 備品として購入したベックマン社製卓上形分離用超遠心機TL-100は、膵B細胞DNAの分析に頻用された。
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[Publications] Cancer Res.45-4. (1985)
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[Publications] Biomed.Biochim.Acta. 44-1. (1985)
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[Publications] BioEssays. 2-1. (1985)
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[Publications] J.Biol.Chem.(1986)