1985 Fiscal Year Annual Research Report
打撃時に生じるヒト頭蓋変形のコンピューターモード解析
Project/Area Number |
60870027
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤原 敏 神戸大学, 医, 講師 (20173487)
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Keywords | 脳挫傷 / 頭部打撃 / 頭蓋変形 / コンピューターモード解析 / ヒト頭蓋 / 人工頭蓋 / 頭蓋内圧変動 |
Research Abstract |
(実験方法)インパルス応答法による加振点(入力)と応答点(出力)の信号を基にA/D変換後コンピュータモード解析を行なうプログラムを組み立てた。本年はこれら一連の解析プログラムを用いてヒト乾燥頭蓋について解析した。前頭正中部をハンマーにて加振し、ハンマーに組み込んだロードセルによって力を測定した。頭蓋冠正中線上の5ヶ所及び左右側頭部各1ヶ所に加速度計を接着し、応答点とした。測定結果をコンピュータで解析し、結果を頭蓋の最大変位状態として図化し考察した。 (結果と考察)頭蓋冠正中線上の前頭部、後頭部の2点以外はすべて2方向の成分を測定したために、結果をベクトルで表わすことができ変形の方向も見ることができた。最大変位は左右側頭部が最も大きく、左十.20μm/N.右0.14μm/Nでありいずれも打撃の瞬間には左右にふくらむ変形を示した。打撃側の前頭部は0.05μm/N、反対側の後頭部は0.02μm/Nであり打撃を加えた瞬間にはいずれも頭蓋の中心に向かって変形し、また頭頂部は0.06μm/Nであり、全く逆の変形を示した。一方、前頭頭頂部、後頭頭頂部は変形の境界点でありそのために極めて小さな変位を示した。各応答点の共振周波数は約740〜800Hzであった。 (まとめ)ヒト乾燥頭蓋の変形は、打撃を加えた瞬間には頭蓋は全体として左右方向に伸長し、また頭頂部も同じく上方に伸長する。次いでそれぞれ逆方向に伸長した。これら一連の変形の周波数は約740〜800Hzであッタ。本実験により自由に振動する頭蓋前頭部に対する打撃によっても、後頭部の変形が起こり、また同時に頭頂部及び側頭部にも著明な変形が起こることがわかった。
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