1985 Fiscal Year Annual Research Report
Hybrid Artificial Liverの開発に関する研究
Project/Area Number |
60870043
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
水戸 廸郎 旭川医科大学, 医, 教授 (60000981)
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Keywords | Hybrid Atificial liver / 遊離肝細胞 / 代謝補助装置 / 急性肝不全 / 肝細胞保存 / コラゲナーゼ / 解毒機能 / 血液浄化法 |
Research Abstract |
肝臓は生体の物質代謝の中枢であり、生命維持に最も重要な役割を担う臓器である。したがって、ひとたび重篤な機能不全に至ればその予後は極めて不良であり、その80〜90%はいかなる保存的療法によっても救命できない。しかしながら、肝臓は本来、極めて旺盛な再生能力を有しているので、この重篤な肝障害の一定期間を何らかの方法で機能を補助してやれば救命しうる可能性がある。この機能の代行法が、即ち人工肝臓である。今日、人工肝機能補助装置として臨床的にも使用されているのは、吸着剤や血漿交換療法に代表される、いわゆる除去療法であり、これらの治療成績は意識の回復率には著効を認めるものの、救命率の改善には至っていないのが現状である。その最も大きな理由のひとつとして、肝臓が本来有している二大機能(解毒能と代謝能)のうち、これらの除去療法は解毒能の一部を補助しているに過ぎないという点が指摘される。そこで本研究では、代謝能の補助に主眼をおき、代謝のリアクターとして保存ならびに機能の長期維持に有利な遊離肝細胞を使用したhybrid artificial liverの開発を目的とする。 (1) 遊離肝細胞の大量採取・保存法の確立:代謝補助装置には大量の遊離肝細胞が必要であり、犬、豚、牛などのように大動物の肝臓を遊離するには、コラゲナーゼ酵素の循環潅流システムが有用であり、全肝細胞の約70%を分離しえた。また、液体窒素中に保存する方法が最も機能を長期間保存できることが判明した。 (2) 遊離肝細胞利用代謝補助システムの試作:遊離肝細胞の機能を、いわゆる遊離培養系で引き出す方法と、細胞浮遊液の培地のみ潅流させる方法を検討でき、かつ、あらゆる血液浄化法にも対応できるシステムを試作し、来年度の基礎的研究に供される。
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[Publications] 第5回国際人工臓器学会. (1985)
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[Publications] 日本臨床. 43-12. (1985)
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[Publications] 消化器科. 3-2. (1985)
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[Publications] 医学のあゆみ. 134-9. (1985)